刻なしに
襲ふ睡魔や
時計草
木村杏子
雨月
【型染め九寸名古屋帯】
―懐古―
着用時季・※盛夏を除く通年
こうした染色を見ているとつい心が微笑む心地になります。 気持ちの向くままに創作されたことがその意匠-designから伝わってきます。 “こうあらねばならない”、そんな声などまったくもって意に介さない、制作者が創りたいものを作ったことが伝わります。 もっと言えば制作者自身が使いたいもの(帯)-欲しくなるもの(帯)を創ったのでしょう。 少なくとも私は工藝きもの専門店の店主としての目から見て好感を持ちます。 制作という行為は言うまでもなく「無」から「有」を生み出す行為です。 制作者の想像-Imaginationの中にしか存在しなかった形を持たないイメージがある日デッサンとなり意匠となり型紙に興されて染織品となる。 退屈な経験が入り込み、窮屈な思考が邪魔をして、結果、凡とした「いつもの」-「よくある」ものとなって出来上がる、そうした極めてナンセンスな工程?の多い染色の中で窮屈な制約を受けない、言わばプロトタイプとでも言うような作品が染め上がることは「ねばならない」にがんじがらめにされた染色家たちの目を覚ますことに繋がるのかもしれません。
さて、こちら--- 草原を背景に-楽器-や-電話-辞書-などが染め描かれているようです。 どこか懐かしさを覚えます。 影絵のように配された楽器-や-電話-辞書-。 表現された構図はどこか懐かしくユーモラスな感触を残しながら、民藝的にならず都会的な垢抜けた印象を保つのは墨黒と土色でまとめられた配色がそう想わせるのでしょうか。 こうした帯に関心をお持ちになる方は きっと紬好きの方が多いのかもしれません。 こちらの帯は大島に代表される光沢を保った紬は無論、光沢を抑えた紬織物、結城紬、郡上紬、飯田紬、みさやま紬など、真綿系の紬織物に適わせて頂きますととても素敵だと思います。 使われた絹布はしなやかな中に紬特有のまったりとしたやわらかさと適度な地厚を感じます。 染め帯に在りがちな頼りなさはなく、柔らか過ぎず、張り過ぎず、その締め心地は 紬の愛好家の方の期待を裏切るものではないことはもちろん、着物初心者と言われる方にもお使い頂きやすいものであると思います。 どうぞ味わってみてください。 ※画像の一部にデジタル処理がうまくいかず白く色抜けしたような部分が出てしまいましたが、実際にはそのようにはなっておりません。お見苦しく申し訳ございません。
※現品限りです。
※碧の十字絣が美しい越後真綿紬に適わせてみました。
商品番号 |
CKY-NAS-161 |
商品名 |
型染九寸名古屋帯/懐古 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥156,000(帯地のみ仕立て無し/税込) ¥167,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
八寸程/ 九尺八寸程※お仕立て上がりの際のサイズ |
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