瑠璃色の
北上川や
秋深む
山路紀子
風土
■本場結城紬/地機(いざり機)
百細工/詰め
本場結城紬、とりわけ地機による結城紬をもって「極上の着心地の」と値賞される理由はなんなのでしょうか? そもそも結城紬が結城紬たる所以とは。 本場結城紬が縦糸・緯糸ともに「手引きの真綿糸」によって織られているから? もちろんそれも理由の一つかと思います。 でも、そうした手引きの真綿糸によって織られる紬は他にない訳ではありません。 では、何ゆえに本場結城紬の地機をもって極上の着心地とするのでしょうか。
地機の結城紬はひとの手によって真綿から引き出される極上且つ極細の手引きの真綿糸が使われます。 一般的に糸は撚り(より)を掛けることで強度を保ち、且つ織物の糸となります。 然し、結城紬の糸はその他の産地の織物にはほとんど例を見ない、いえ、世界の織物においても例を見ない無撚糸(撚りを掛けない)の糸が使われるのです。 そしてその素朴な質感の真綿糸はそのままの状態で機に掛けて「織る」と言うことは不可能に近いのです。 なぜなら真綿糸同士はすべりが殆どないため「杼」が通り難い(滑らない)から。
そこで真綿糸に“糊”を付けて織り易くする訳です。 それでやっと機に掛けられ「織る」と言う仕事が可能となるのです。 そのようにして織り上げられ、絹織物となった本場結城紬はお客様に求められた後、再び産地において入念な湯通しが施されるます。 丁寧に“糊”が落とされたときに真綿糸はまさに呼吸をするかのように空気を含むのですが、この空気を含んだ素朴な真綿糸は、他のどの織物よりも軽く、また強さをも保ち、とりわけ「羽衣」とも賞される極上の着心地を与えてくれるのです。
本場結城紬は地機でなくても高機でさえも織物としてのクオリティーは極めて高いものと言えます。 それはすなわち質の高い着心地を約束してくれるものと言い換えても過言ではありません。 本場結城紬には本場結城紬と認定されるための厳格な規格があります。 その要件に適っていれば「本場結城紬」とされ、そこに一定の品質が約束されるのです。 つまり、証紙に適う品質が文字通り保証されるのです。
こちらに掲載をさせて頂きました本場結城紬、国産糸に厳格に拘り、意匠を吟味して絣括りの手を選び、織り手を選び織り上げられたものとなります。 それは本場結城紬の縞屋(産地の機屋)としての拘りであるのかも知れません。 素朴なテイストではあるのだけれど、あくまでも素朴なだけに留まるものではない。 その質感と着心地は極上を想わせてくれるものとなります。 本場結城紬に袖を通された方は、巷間伝え聞くその着心地に頷かれます。 つまり、一度でも袖を通された方にとってこうした解説などまったく無用なものでもあるのです。
ご存知のように結城紬に垢抜けたとか洗練とかの印象を期待することは難しいのかも知れません。 使われた色も然り、意匠も然り…、 でも、このどこか「土」を想わせる地風が、実際に着物となりどなたかの身を包んだ際、その姿は不思議な程に都会に馴染んでくれるのです。 すべての建築物が近代化され、ある意味無機質とも言えるような街中で、こうした手技、手仕事の極みとも言える結城紬が思いがけず馴染んでくれるのです。 更紗やバティックなどの趣の帯地を適わせても、力感溢れる型絵染を適わせてみてもこの本場結城紬は意外な程に馴染んでくれます。 なんとも温かみを感じさせる紬織物です。
この温かみ(実際に暖かいのですが)を感じさせる理由なんですが、合理化や近代化とは対極にあるその制作過程から感じられるのだと思います。 もっと言うならば、非生産的とも言えるその技法、つまり、何から何まですべての工程が「ひとの手」によっているからなんだと思います。ひとの手の痕跡がどこか感じられるのです。
名工と言われる職人が作る天然木の家具などを目にしていると、機械が入り込んだ印象はまったく感じられません。 そこから伝わり来るものは「職人」の息吹き、手掛けた手跡…。 本場結城紬には工業的な印象は微塵も感じられません。 伝わってくるものは結城紬に対する織り手の愛情とも言える温もりだと思います。本場結城紬に袖を通された方は温かみの籠められたその着心地にも再び頷かれてしまうのです。
商品番号 |
INS-HUT-01288 |
商品名 |
本場結城紬/地機(いざり機)百細工詰め・菊花文 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥,995,000(表地/税込) ¥1,051,500(袷仕立上げ/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。 【※単衣仕立てをご希望の際はお尋ねください。】
|
巾/ 長さ |
1尺※約37.5cm程/ 12,5m程 |
|
[お仕立てをご希望のお客さまへ]
カードでお支払いをご希望のお客さまで「お仕立て」をご希望されるお客様は
カード決済のお手続きの際に一旦「反物」の価格にてお手続きをお願いいたします。
後ほど、弊店より「お仕立て」の有無のご確認をさせて頂きます。
ご了承頂きました後に「お仕立て代金込み」の金額に変更させて頂きます。
[現品事前確認をご希望のお客さまへ]
ご注文/ご購入に際して、現品を前もってご覧になられたい方は下記現品事前確認
についてを
ご覧くださいませ。詳しい流れのご案内をさせて頂いております。
→現品事前確認について
注/当ホームページに記載されている記事・画像などの無断転載/複製を禁じます。
転載/掲載をご希望の際は予めその旨、お問合わせ戴き承認を得てください。
無断転載/複製と認められる場合、法的措置が講じられる事もあります。
Copyright(C)2008 きもの水流 All Rights Reserved
■お仕立につきましては仕立て料金表はこちら をご参照下さい。
または、お電話・メール・ファクスにてお尋ね下さいませ。




