雲海も
翼も染めて
初茜
中野たけみ
雨月
【描疋田/手描九名古屋帯】
―彩雲流文― 塩瀬地
もっちりとした質感、厚手の塩瀬地に雲流文がふわり浮かぶかのように描き染められています。 蒲葡 (えびぞめ)で描かれた雲は周囲が水色で縁取られ、輪郭のはっきりしない雲を巧みに表現しています。 思わずお品は息を止めて見てしまう程美しい、とまでは言わないが実際かなり美しい。 思えば西陣にも雲の意匠はたくさん存在し、様々な機屋/職人が手掛けている。 室町でも染め工房で雲流文を意匠として持っていないところはおそらくない。 また、染色家が手掛けるモチーフとしても雲流文は決して珍しいものではない。
ただ、その出来栄えはまさに玉石混淆、しばし見入ってしまうほどの画力のあるものもあれば、ただただ、表面だけをなぞるように真似たもの、というものも少なくない。 むしろ真似に終始したものの方が多いかもしれない。 こちらのお品は玉石で言えばまさに「玉」美しい仕事が掛けられています。 そもそも雲取りや雲流、筋斗雲と、雲の形を描いた模様が私は好きなのですが、やはり惹かれるのはこちらの品のように丁寧な仕事が施されたもの。 モチーフが単純なだけに仕事の良しあしが際立つのです。つまり、単純な意匠ほど画力が問われるものなのです。
こんな言い方をしてしまうとなんなんですが、私は描帯が好きで四十年近く毎日のように見ているのですべてにうるさい。 使われた生地、下絵、構図、彩色、等々そのどれか一つでも欠けた染めに、「ま、いいか…、」とはならないんです。 要するに他人のする仕事には完璧主義者(笑)なのです。
割と簡単に言いますと、人の創意から生まれたものと、そうではないもの(商業ありき、つまりコストから生まれたもの) 人の手から生まれたものと、そうではないもの(インクジェットやスクリーン印刷) どちらも似たようなものは作れるのですが、やはり並べて比べると全然違う。 もちろん人の価値観なのでどちらが良い、という問題ではない。あくまでもどちらを好むか、です。 雲流文が描き染められた一枚の帯、、。この繊細な染めを施した者を想う。
ご覧頂けますように下絵師の力量が見事に表れた繊細な手描友禅です。 帯や着物の意匠に雲流文が選ばれることは珍しいものではありません。 つまり、カジュアルにも余所行きの装いにおいても実に画になるのです。 うつろいの儚さまでも画の中に溶かし込む… 日本の染色が時代超えて高い評価を受けるのは、こうした美しい仕事が在るからなのかも知れません。 さて、、、この帯ですが、塩瀬地を使っております。 ですので袷だけに限定することなく、単衣の季節にも充分お使い頂くことが出来ます。 ※適用時節9月~6月
商品番号 |
NAGOYA-SOME-19 |
商品名 |
描疋田手描友禅九寸名古屋帯/彩雲流文/ |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥163,000(帯地のみ仕立て無し/税込) ¥174,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
八寸~八寸一分程/ 九尺八寸程※お仕立て上がりの際のサイズ |
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