きもの専門店
そう謳うのは覚悟と精通が問われます
着物に関わり四十年と少し…
まだまだ学ぶことばかり…
きもの、って知れば知るほど知らないことばかりです

その多様さゆえに定義付けることの難しい更紗
古渡にはじまりペルシャ、フランス、イギリス、…
  バティックとして知られるジャワ更紗もありますが、日本の職人の手による和更紗の美は
やはり格別です
―唐草小花文―

暈したり、一層の斑も許さなかったり
澱みの様に堆積した手わざが意図して刷毛を捌く…
かのフィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホさえ憬れた
日本の職人の筆捌き

染織作家の手から放たれた作品は
一つの花、一つの蝶、一つの鳥、に
生命が吹き込まれているのです 
添田敏子 ―白ぶどう―

もしかしたら
この小さなキモノ店は
アナタをドキドキさせることが
出来るかも知れません
どうぞ遊びにいらしてください 



麗らかや

渡れぬ池の

円周率


佐瀬晶子

万華鏡




江戸友禅九寸名古屋帯/久呂田明巧(浦野理一)



【型絵染九寸名古屋帯】
―蝶舞い魚泳ぎ桜咲く―
国画会会員鈴木紀絵作品/故人



鈴木紀絵(すずき のりえ)ご存命ならば今年94歳になられると記憶しています。 日本国画会の準会員としてこれまでに数々の魅力的な作品を世に送り出してきました。 安直な表現と承知で申し上げれば、”極めて個性的で愛らしい作風で一世を風靡された方”である。


 工芸染織の愛好家の方の間ではよく知られたお話で恐縮ですが、鈴木紀絵さんが染織の道を目指したのはとても単純な理由からだと聞いてます。 日本舞踊を習うお嬢さんの着物を自分の手で描き染めることが出来たら…、という、娘を思う気持ちから染織の門を叩きました。 型絵染の第一人者芹沢圭介(金ヘンに圭ですが文字化けするので)氏に師事。 鈴木紀絵さん、33歳の時のこと。 …というプロフィールはこの辺りで…、こうした染織に関心を寄せられる方はとうにご存知かと思いますし、また、そうしたお話に私自身さほど関心がない…、こともありまして、、。


いかにも鈴木紀絵さんらしい彩です。 もっと正確に言葉を選ぶのならば鈴木紀絵さんにしか表現の出来ない彩色で彩られています。 九寸の巾、一丈三尺程の絹布に描き染められた「蝶舞い魚泳ぎ桜咲く」は、見る者の目を捉えて離さない、色の響きはまるでガラス絵のようでもあり、不思議な感覚を憶えます。 息を詰めてじっと眺めていると、もう根本的に呉服商である前に染織愛好家の一人として純粋に魅了されてしまい、何か、セールストークめいたものを書こうという気が失せてしまっているのです。  


江戸友禅九寸名古屋帯/久呂田明巧(浦野理一) 江戸友禅九寸名古屋帯/久呂田明巧(浦野理一) 江戸友禅九寸名古屋帯/久呂田明巧(浦野理一) 江戸友禅九寸名古屋帯/久呂田明巧(浦野理一)


鈴木紀絵さんは型絵染、手描き、絞り、とありとあらゆる染色技法を操る染色作家です。 基本、型絵染の染色家は型絵染に使う型紙は何度も使う訳ですが(コストを思えば至極当然ですね)鈴木紀絵さんは”創造のその時のただ一度”しか使わないのだそう…、どちらが良いという訳でもないのですが、、。 唯、ああそうか、「その日、その時、その場所で感じた心の動きを染色に宿すのだ」、と言う鈴木紀絵さんの言葉に自然に納得させられる。。。 


鈴木紀絵さんのデッサン力、型彫りの美しさ、染め描き絞りの秀逸なる美…、等々、、、また鈴木紀絵さんが発っしてきたもののすべて。。。  工房の色、気配、紀絵さんの刷毛(はけ)捌き、ときに放心したように座り込むであろう制作者…。 いま羅列したなにもかもが、いやそれ以上のものすべてがこの一枚の布に籠められている。 小片のようなそれらのすべてがこの染色を創っている。 言わば鈴木紀絵さんそのものと言っていい。 要するにその事実を超えるような説明など出来る筈は所詮ないのです。
 


江戸友禅九寸名古屋帯/久呂田明巧(浦野理一) 江戸友禅九寸名古屋帯/久呂田明巧(浦野理一) 江戸友禅九寸名古屋帯/久呂田明巧(浦野理一)


なので…、これほどの作品に解説めいたことを書くのはを苦手。 と言うか、率直に言えば力量に無理がある。 たとえばカタログ(型録)的な事、商品スペックとでも言うのか、素材が絹なのか麻なのか綿なのか、染料は植物染料なのか顔料なのか酸性染料なのか、型絵染なのか手描きなのか、名古屋帯なのか袋帯なのか、通し柄なのか六通や三通なのか、等々の説明<と言うか情報の羅列>ならいくらでも出来る。 箇条書きに詳細を記せば済むのだから。。。 でも… それではなにも面白くないし、そんなことを書いた(知った)ところでこの作品の欠片も表すこと(知ること)も出来ないのです。 放棄してる訳じゃあないです。 ありきたりの言葉など跳ね返してしまうような<この作品の>力に押され筆が遅々として進まない、、、と言う事。 


鈴木紀絵さんは型も使いますが、基本、絞りも手描きも使われるのでこれまでのどの作品もすべて一点ものです。 ですので複数点制作されることはこれまで一度もありません。 また、この先、という観点から申し上げれば、もう制作されることは現実のお話としてない訳ですから…。 私はぼんやりと想う…。 この作品を見ながら、、、日本の工藝染織において鈴木紀絵という存在を永久に失ってしまったことはとてつもなく大きな損失だと、、。 もう、日本中探してもこうして作品という形で残されたものはそれほど多くはありません。(と言いますかおそらく無い) すでにお仕立てがなされてお客様の手元に渡っている作品は別にして。。。 希少価値を論じるつもりではありません。 唯、もう鈴木紀絵さんの作品を入手することはほぼ絶望的に難しいだろう、という事実。 惹き合うものが無ければ出会う事はない、と常々思っています。 以前、誰かが言っていた、「工藝染織作品は布そのものに魂が宿り、布そのものが行きたいと思うところに収まる。」 私はそうしたものだと思っているし、今まで販売させて頂いたものの多くがそうであったと思っています。 



型絵染、手描き、絞り、…これまでにもその技法はさんざん書いてきたし、きっといまでは愛好者である方々の方が私よりももしかしたら詳しいし、、、ですのでそのことについては書きません。 一目で見るものを魅了してしまう工藝、眺めていると目が離せなくなってしまう魅力、「蝶舞い魚泳ぎ桜咲く」という普遍的なテーマが描き染められている、(※とは言え、蝶た魚の姿形一つ取ってももう秀逸以外の言葉がありませんが) 唯それだけなのにこれほどまでに見るものを魅了するのです。 対象物を捉える目、デッサン力、型絵の彫り、彩色、そのどれもが欠けてもこれほどの印象とはならないのです。 芹沢圭介に師事し、芹沢氏とは異なる魅力を放つ、鈴木紀絵さんの作品「蝶舞い魚泳ぎ桜咲く」 素晴らしい作品だと思います。 そしていま、この作品を師であられた芹沢圭介氏が見たら、いったいどのような言葉を掛けられるのだろうか。 


最後に付け足したように申し上げるならば美しさは制作者のデッサンの美しさ、デッサンの美しさは対象物を捉える目、その力に依るのです。 その観点から見ても見事な作品だと思います。 価格はご存命当時と比べますと2割ほど上がっておりますが、据え置いた価格にご紹介させて頂きました。 


【商品情報】

商品番号
NAGOYA-SOME-846
商品名
型絵染九寸名古屋帯/国画会 鈴木紀絵/蝶舞い魚泳ぎ桜咲く
品質
絹100%
価格
¥387,600 (帯地のみ仕立て無し/税込)
¥399,100 (芯仕立て上げ税込)
※一級和裁士による手縫い。
※お仕立てに要する日数はご注文確定後
約2週間~20日戴いております。
巾/ 長さ
※お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸二分程。/ 長さは九尺八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。

[現品事前確認をご希望のお客さまへ]
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についてを ご覧くださいませ。詳しい流れのご案内をさせて頂いております。


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型絵染九寸名古屋帯/国画会 鈴木紀絵/蝶舞い魚泳ぎ桜咲く

価格: ¥387,600 (税込) ¥399,100 (税込)
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