窓を煽つ
緑の芭蕉翳
美しき
大橋敦子
雨月
【喜如嘉の芭蕉布】 九寸名古屋帯 重要無形文化財 煮綛/ニーガシー
制作/平良敏子
経/手績み芭蕉糸100% 緯/手績み芭蕉糸100% 技法/手結い・手織 染料/琉球藍・車輪梅・相思樹・福木・マンゴー・茜
この頁に関心をお寄せ頂いておられる方はすでにご存じかと思いますが、芭蕉布は沖縄の地で栽培した糸芭蕉から採取した繊維を細く裂いて糸にして織り上げる沖縄特有の自然布です。 生紬とも違う、麻とも異なる、特有の野趣溢れる織味を持つ美しい織布です。 文献によれば十三世紀頃にはすでに織られ、当時は民の着物として、また上質極むものは琉球王朝の王族王家のものとされていたようです。
日本民藝運動の創始者である柳宗悦はかつて「芭蕉布物語」の中で以下のように記しました。 「今時こんな美しい布はめったにないのです。いつ見てもこの布ばかりは本物です。
その美しさの由来を訊ねれば、それは理の当然であって、どうしても美しくならざるをえないのです。」 と、芭蕉布の制作における過程も含めたすべての美に賛辞を贈りました。
掲載をさせて頂きましたこちらの喜如嘉の芭蕉布は、年間の制作数が100点にも満たない希少な喜如嘉の芭蕉布の中でも極めて制作数の少ない、煮綛(にいがし)芭蕉布です。 こちらはその制作数の少ない煮綛(にいがし)芭蕉布の中でも更に希少とされる緑印象の煮綛(にいがし)芭蕉布です。 そもそも制作されることの珍しい作品ですが、昨年の平良敏子百寿記念の向けて制作されました。 市中で喜如嘉の芭蕉布として目にされるものは、枯れ色と生成りの中間のような色の生地に絣で蝉や蜻蛉などの模様がおこされていたり、花織がおこされている作品、緯糸に藍染めが施された褐色(青鼠)の作品です。
つまり、黄色や緑の煮綛(にいがし)の芭蕉布が制作されることはほとんどないのです。 上述しましたように煮綛(にいがし)は本来流通のために織られるものではありません。 民のものとしての芭蕉布ではなく、琉球王朝の王家のためのもの、つまり献上品であった訳です。 絹ではない、植物から採取した自然布でありながら、野趣衣ではなく、品位を想わせる織物です。
世の中には値段があるものと値段をつけられぬものがあります…、それほど遠くはない将来、芭蕉布は値段をつけられぬものに限りなく近づいてしまうのではないか…、そんな気がします。 ひとの手が生み出したものと自然が生み出したもの…、これは自然が生み出した素材をひとの手が生み出したもの…。 糸芭蕉の木はもう木そのものが美しく、織り上がった芭蕉布は当然ながら本当に美しいのです。 芭蕉布を眺めているとこの繊細さな美しさを創ったひとを思うのです。 糸芭蕉と芭蕉布。。。そのどちらもかけがえのない大切なものなのです。
よくご存じのように芭蕉には「花芭蕉]「実芭蕉」「糸芭蕉」があります。 芭蕉布は糸芭蕉の繊維から織られた琉球沖縄の織物です。 それは上質の苧を採取するところから始まります。 芭蕉布とは糸芭蕉の繊維から作られる織物、その繊維を沖縄では苧(※うー)と呼びます。 糸芭蕉の皮を一枚づつ丁寧に剥いでゆき束ねた苧を灰汁で煮ます。 その後水で洗い灰汁を落としたら皮から繊維を取り出すのです。 乾燥させた後に糸を繫いでゆく、絣を括ったり染めたりといくつもの工程を経てやっと織るという作業に取り掛かることが出来るのです。 織上がった後も根気よく辛抱強く丁寧な仕事を重ねることでようやく芭蕉布は一枚の布となるのです。古代から続く手仕事と自然の恵みがこの美しい織物を紡ぎ出すのです。
南国琉球沖縄の地で育まれる染織に憧れを感じるのはなにも消費者である愛好家の方だけではありません。 取り扱う私たち呉服商も憧れるのです。 もっと言えばその強い憧れが高じてこうして着物を生業としている、そう言ってしまっても過言ではないのです。 豊かな自然とは見方を変えれば厳しい環境と言い換えることも出来ます。しばしば過酷とも言える自然の脅威に向き合い、自然の恵みを受けながら、産み育てられてきた織物、それが芭蕉布なのです。 いまもそれを守り続けてくださる節くれだってしまった「仕事をする手、指」を想うとき、深い感謝と共に芭蕉布という美しい布に惹かれてしまうのです。
こちらに掲載致しましたお品は国指定の重要無形文化財「芭蕉布」の保持者に認定された人間国宝、平良敏子さんの芭蕉布織物工房でつくられた「喜如嘉の芭蕉布」 そのなかでも希少とされる「にいがし」です。 眺めていると知らぬ間に息を詰めてみてしまうほど美しい逸品です。 芭蕉布特有の張りのあるしなやかさ、大地の恵みそのものの柔らかい色彩、手織りによるそれは贅沢な質感を一目で想わせてくれます。 いつかは手に入れたい、そう憧れておられる方も多い夏の贅沢な逸品です。
また、芭蕉のような植物布は本来ご着用時期のお約束はそもそもございません。 実際に通年お使いになっている呉服屋の女将も居ます。 それでも…、平均的な着用時期は?と問われましたら、夏を想わせる5月から9月を目安になさると良いかと思います。 また、時折「どの画像のお色目が一番近いですか?」と、お訊ね頂くことがございますが、こうした天然の染料で染められたものは見る角度、時間、光、によって様々な表情を見せてくれます。つまり…、どの画像もこの芭蕉布の持つ色目であり表情なのです。
※着用画像/コーデ画像と商品単体画像で色が異なる場合がございます。
※商品単体画像を実際のお品により近づけております。
※光の加減・ブラウザ環境等により写真と実物では多少誤差があることがございます。あらかじめご了承くださいませ。
商品番号 |
NGY-ORI-06 |
商品名 |
喜如嘉の芭蕉布/煮綛/ニーガシー平良敏子 |
品質 |
経糸/手績み芭蕉100%・緯糸/手績み芭蕉100% |
価格 |
¥885,000 (表地/税込) ¥896,500 (夏かがり仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。
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巾/ 長さ |
※お仕立て上がりの際のサイズは八寸~八寸二分程/ 九尺八寸程多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
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