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【手描き友禅/刺繍】 九寸名古屋帯
吹き寄せ
漆黒…、深い深い黒がしっとりと美しい友禅です。 意匠、色挿しの彩色、地色、程良くあしらわれた刺繍、選ばれた生地…、 そう、何もかも、すべてのしつらえがことのほか美しいのです。 ただ、正直申し上げますと本来黒地の着物や帯を私はあまり好みません。 何故?と問われましてもその理由をとくに見つけられない、ロジックで表せるものではなく、要するに単純に好みではないと申し上げるしかないのですが、それでもあえて理由を見つけるとすれば、黒地の着物から、どこかしら玄人っぽい感じを受けるからなのかもしれません。 粋な感じとでも言えばよいのでしょうか。 私自身が野暮ゆえに 余計にそのように感じるのかもしれません。
けれども、おかしなもので黒地の着物でも黒留袖なんかを見ていて粋だと感じたことはありません。 際立って改まった感じはするものの粋であったり、玄人っぽい印象を黒留袖に感じることはないのです。 もちろん黒留袖に慶長柄が多いのもそう感じさせない理由であろうかと思います。
面白いものです。 黒留袖になにかしらの先入観があるのでしょうか。 呉服屋なのに理由も分からないの? と言われてしまいそうなんですが、何故なんでしょうね。 他に違いを言えば黒留袖には家紋が入っていること、たとえ飾り比翼であったとしてもふりくち、衿、衽から比翼が覗いていること、腰から上に柄がないこと それくらいしか思い付かないのですが、やはり家紋の有無がその印象を大きく左右しているのかもしれません。
さてさて。。。いつものようにどんどんお話が逸れていってしまいます。 黒地の着物/帯にお話を戻します。
黒地の着物/帯を好まないもう一つの大きな理由は何と言っても黒という色が保つ印象の強さです。 (好まないと言うよりは、難しい、が正しいのかもしれません。) それゆえ黒地の着物を選ぶ際は生地を慎重に選ぶのはもちろんのこと、染められた黒の色み、とりわけ「黒」の質感/色味に気を遣います。 黒という色は在る意味無彩色であるとも言えます。 その意味では白も同じなのでしょう。 ただ、「白」をすべての色を受け入れる無彩色と定義をするならば、同じ無彩色でも「黒」はあらゆる色を跳ね返す強さを感じさせるのです。 ただ、別の視点で黒を捉えてみますと黒ほど着物や帯の地色に相応しい色はないという事も言えます。 なんだか言うことが矛盾してますね。 友禅師に言わせると「黒の扱いは難しいのです、でも、うまく扱う事が出来ればこれほど友禅を美しく表現出来る色も他にないのです。」…と。 つまり友禅の彩色を一番美しく見せるのも実は黒であるということです。 同じ無彩色でも白とはその点が大きく異なるところなのです。
さて、こちら。。。 古式ゆかしい技法を用いて染め上げられた手描き友禅/刺繍九寸名古屋帯です。 図案に始まり下絵、糸目糊置き、伏せ糊置き、引き染め、蒸し、水元、挿し友禅、蒸し、揮発洗い、金彩、上げのし、刺繍、地直し、仕上げ、と言った古から伝わる伝統的な京友禅の工程手順が踏まれ制作されたものとなります。 引き染めをされた地色は黒です。 そしてその「黒」を地色として発注をしたのはここまでさんざん黒は好まないと言ってきた私なのです。 まさに矛盾を重ねていますね。 最初に図案を見せて頂いたときに思い描いた地色は黒ではなかったのです。 でも、挿し友禅の彩色を聞いたときに黒しかない、と確信しました。 で、待つこと数ヶ月…、誂え染めが描き染め上がったお品がこちらです。 いかがでしょうか? 漆黒の地色に浮かび上がるかのように描かれた吹き寄せ文様…、そしてところどころにあしらわれた繊細な刺繍、、。 雅やかとはまさにこうした友禅を指すのではないでしょうか? 無彩色である黒の中に差し込まれた彩りが見事なまでの調和を見せているのです。 黒という色が単なる地色という背景色に留まるのではなく、友禅の彩色のすべてを包み込むかのような美しさを呈しているのです。 美しさという観点から、これほどの仕上がりを見せられますと “黒を好まない”なんて単純に申し上げている事を恥じ入るような出来映えなのです。
こちら、、江戸小紋や色無地などに適わせて頂きますと、品格を想わせる略礼装としてお使い戴けることは言うまでもありませんが、たとえば“紬や木綿”などの織物に適わせて頂きましてもとても素敵な装いとなるのではないかと思います。 略礼装ではないけれど、少し「余所行き感」を出したいと思われる装いにはそうしたコーディネートもよろしいかと思います。 略礼装から、余所行きまで幅広く御遣い頂ける帯となるかと思います。
商品番号 |
NIS-NASO-0371 |
商品名 |
手描き友禅/刺繍 九寸名古屋帯吹き寄せ
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品質 |
絹100% |
価格 |
¥187,500(表地/税込)→¥93,750
¥199,000(芯仕立て上げ税込)→¥105,250 ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。
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巾/ 長さ |
※お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸~八寸二分程。/ 長さは九尺六寸~八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
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