高声の
度にかがやく
霜柱
ハルツォーク洋子
銀化
【草木染手織り紬織物】
―信州飯田紬―
廣瀬織物/宮嶋はる子
経糸/くるみ、藍、梅
緯糸/くるみ、西洋茜
染めにしても織りにしても「昔の物は良かった、最近の物は何を見ても良いものがないね」、なんてことを言う人がいる。 私は懐古主義者では決してないので、必ずしもすべてがそうだと頷けないけれど…、うん、まぁ、でも全否定は出来ない部分もあります。 コストなんて考えず上質な素材を使い、とにもかくにもいいものを作ろうとしていた切磋琢磨していた時代、職人が職人の誇りにかけて仕事をしていた時代、とにかく良くも悪くも突き抜けていました。
現代はと言えば、俯瞰的な(良くも悪くも)視点で捉え、営利を考え過ぎた可もなく不可もない75点主義が溢れているように見えなくもありません。(私は個人的にはそうした75点主義ははっきり不可なのだけれど。) 悪くはないけれど、とりわけ良くもないね、、。 要するにどこにも惹かれないね、、なんてものが少なくない。 私は物を作る(創る)と言う事は即ち魂を込める、と同意語だと思っています。 創作とはエゴの現出、それによって織り上げられた(染められたも含め)作品というものはエゴが形になったものなのです。 つまり、そうでなければ存在価値はないとさえ思うのです。
さてさてこちら…、大袈裟に言えば“真綿紬はかくあるべし”、それがストンと腑に落ちるような品。 ちょっとまたお話が逸れますが、私が織物商の仕入に行くと、私を知る社員たちは皆揃って私を煙たがる。 理由は簡単、うるさくて細かいから。 新人はそんなこと知らないからやみくもにぶつかってくる。 あとで先輩社員にあのひと怖い、と言うのだそうだ。(苦笑) 当然至極です。 お店の大切な資金を品と交換し、尚且つ、そのお品を弊店のお客様の大切なお金と交換してもらうのです。 だから品を選ぶ(仕入れる)のは超弩級に真剣なのです。 だから、煙たがられたり、怖がられたりすることは、それはある意味ちょっと嬉しいかも知れません。 つまりはこちらは真剣なのだ、が伝わっているという事なのだから。 ここにご紹介の紬織物はそんな私が選んだ真綿の手織物です。 良いに決まってます。(笑) 紬というカテゴリーにはとくに二級品、三級品、(価格だけのお話ではありません。)の品が多いのだけれど…、 こちらは一級品、です。
草木染の糸を用いて織られた手織りの真綿紬織物です。 飯田紬の中でも結城紬の地機と肩を並べる織感(質感/織味)です。 いや、もしかしたら知名度を除けばある部分凌駕しているか。 一見、単なる縞の紬織物でしかありません。(とは言えども、これほど趣の在る縞を織るのは思いのほか大変なのですが。) でも、その「一見」はこの紬織物を手に取るまでのほんの一瞬、手にするとすぐに端倪すべからざる何か、が指先に伝わり、目に映り込んでくるのです。 画像でご覧戴いてもそうした印象がお解り頂けるかもしれません。 何がそう想わせるのでしょう。
織人や染織家は直接目には見えない糸質を指先に浸み込んだ感覚で判断し、織物に落とし込む力を持っている<経験により身に付けている>とあらためて思わされます。 あたかも花びらをひとひらひとひら揺り起こす様に織物にしてゆくその手業も、もしかしたら織人による自然の摂理と言えるのかもしれません。 優れた織人の無限とも言える手わざはある意味自然を超えていると言っても決して言い過ぎなどではない、それほどに美しいと思います。 唐突にすごい例えを持って来て恐縮だけれど、着物と言う仕事に携わってきていまこの時代にこの日本で紬織の人間国宝(重要無形文化財保持者)志村ふくみや、型絵染の巨匠、添田敏子と共に(同じ時代に)生きたいうことが、どういう意味を持つのか、私にはちゃんと想像することが出来ないけれど、この紬織物の織人の温度はひしひしと感じることが出来るのです。
こちらは宮嶋はる子さんが真綿糸の段階から手を掛け、糸を染め、手織りで織り上げたものです。 一般的によく見掛ける、経糸は生糸、緯糸にのみ真綿糸が使われた、真綿紬風と揶揄される真綿紬ではなく、経糸、緯糸すべてに真綿糸が使われた“純粋な真綿紬織物”です。 そのため、保つ風合いや質感は本場結城紬の地機とよく比較されます。 比べてみても質感で劣る感じはありません。 それはこの飯田紬に一度でも袖を通した経験をお持ちの方ならば、必ず頷かれる感想かと思います。 私の個人的な思い込ではありません。 唯単なる縞織物であれば良いのなら、これほどまでに拘る必要はないのです。 糸質に拘り、染色に拘り、更に言えば蚕にまで拘り…、 敢えて手間暇を掛けるのは極上の着心地を目的として織られているから、なのです。
縞と言えば確かにそれには違いないのだけれど…、縞と言ってしまうにはあまりにも勿体ない。 なんとも魅力的で単純に説明できな色模様(色と質感)(お色目は灰梅色に近いでしょうか、灰梅色にもう一滴白茶を加えたような…)なのです。 さっきからこの文章を書きながらも、延々見続けているのですが、やはり上手く表す事が出来ないのです。 縞と言う言わば単純な柄、ともすれば視線をやり過ごしてしまいがちな縞を様々な色彩をその糸に映し染め上げることで生み出した色の奥行と深みなるものでここまで印象的に織り出しているのです。 単なる縞に留まらない「端倪すべからざる」印象とは制作者である宮嶋はる子さんによって掛けられた手仕事の積り。 そしてその積りこそが人の目を惹き付けて離さないこの紬織物が保つ魅力的な表情なのです。
商品番号 |
OTK-MST-03 |
商品名 |
草木染手織り紬織物/信州飯田紬 制作/」宮嶋はる子 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥315,000(表地/税込) ¥369,000(袷仕立上げ/胴裏・八掛/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。 【※単衣仕立てをご希望の際はお尋ねください。】 |
巾/ 長さ |
38cm程(※約一尺程)/※12.5m程 (※およそ三丈三尺) |
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