虚空より
花の散り来る
蔵王堂
熊岡俊子
雨月
【西陣織九寸名古屋帯】
―貝花文―
制作/洛風林
染織、文字通り染めと織り、織物に観点を絞り見ても世界には実に様々な織物が在り、そして現在も尚つくり続けられている。 土地/風土から生まれる織物、或いは装飾を施すがため、いわゆる装飾のための装飾という織物も存在する。 織物はその土地土地の生活や風土/文化と密接な関係がある。 文化を背景に様々な織物が織られている、そう言ってしまっても過言ではない。 もちろん日本も例外ではない。 帯や着物に拘らず伝統的な「日本の文様」と称される「文様」は日本の文化と密接な繋がりがある。 遥か離れた西洋の異国から古(いにしえ)より渡来し、日本の文化の中で育まれ、融合し、今に完成された文様は少なくない。 それは正倉院文様や有職文様と呼ばれる文様の中に渡来品の意匠を写したり模したりしたものが数多く見られることからも分かる。 しかし、例えそれらの出典がシルクロードより伝わってきた異国、異文化のものであったとしても、今日では古来伝来の「日本の文様」ではないかと私などはそう思う。
さて「貝花文」と銘されたこちら。
題された銘からは日本的な何かなのか、西洋から伝わり来たものなのか分からない。 洛風林によれば、貝花文とは貝がらからイメージされたものを花のように見立てた意匠だそう。 その辺りは初代考案、命名の作と聞いています。 ずいぶんデフォルメが施されているようです。 基本的に現在、意匠/designは堀江愛子氏がされているそうですがその創造力は初代譲り、ある一つの古典的とも言える小さな部分から発想の発芽をし、現代的なテイストに再構築してしまうその力量にもはや感服する以外ない。
洛風林の織物は、たとえ洛風林の銘が織り込まれていなかったとしても、やはり「洛風林」なのです。 洛風林の帯特有の柔らかで、しっとりとした織り感・・・。 きらびやか、や華やかと言った印象ではない。 しかしそこに配された彩色が「殊の外美しい」。 彩色のひとつひとつに品位が在る。 英知を尽くした末、つくられた色彩なのです。 この貝花文もまた考え尽くされたもの、尽くされた現代の叡智と過去の美意識が相まってこの織物に優雅な印象を与えているのかも知れない。 いわゆる「西陣の美」ではない。 でも、日本の文化に融合し、日本人の目で起こされたその文様は既に「和の品位/品格」を保っているのです。 完成された色彩、完成された意匠、完成された日本の文様と言える。
洛風林が手掛ける帯は改まった装いが求められるお席においてもある種の安心感のようなものが感じられます。 たとえばこの「貝花文」 伝統的/トラディショナルな印象ではないこの織物がなぜそう想わせるのか。 出典がどこであれ、洛風林の歴史に織り込まれ、洛風林の叡智で織り上げられた時、その時すでに日本のトラディショナルであり、伝統的と言えるのかも知れない。 茶席において好まれ、粋人に愛好され、文化人の趣向に添うと思われる貝花文は確実に「礼」を意識させ、「和の品位」を想わせ、場においては正統な品格/格調を感じさせ、時に洒脱な印象さえも与えてくれるのです。
※本場結城紬/百細工亀甲絣、久保原由佳理/桜染着物地と適わせてみました。
商品番号 |
RFH-SKM-0221 |
商品名 |
西陣織九寸名古屋帯/貝花文 洛風林 |
品質 |
絹100%※金銀糸箔を除く |
価格 |
¥220,000(帯地のみ仕立て無し/税込) ¥231,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
八寸~八寸一分程/ 九尺七寸~八寸程※お仕立て上がりの際のサイズ |
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