すずらんや
心耳を澄ます
佇まひ
堀川夏子
銀化
【絞り染め九寸名古屋帯】
―すずらん― 真綿紬地
制作/小野順子
春から初夏にかけて咲く代表的な花の一つ、すずらん/鈴蘭。 ご存知のようにすずらんは君影草/きみかげそうという別名を持ちます。 花が葉の影に隠れるように咲くことから付けられました。 控えめな美しさ、を想わせてくれますね。 花の姿、花の香りはもちろんですが、花言葉も素敵です。すずらんの花言葉は「再び(ふたたび)幸せが訪れる」幸せが繰り返し訪れる。 北国の人々が春の訪れを心待ちにする思いに由来するのだそう。 冷たく長い冬のあとにようやく訪れる春を想う花言葉。
型染めでも、手描きでも、刺繍でもなく、もちろん織でもない、。 絞り染め、絞り友禅です。 絞りの持つ独特のおうとつが微かな光と影を生地の上に作り、それは優しい表情となって見る者の眼に映ります。 制作者の小野順子さんは辻が花染めの小倉建亮氏に師事し、現在の作風を作り上げました。 辻が花の技法を用いた絞り染めです。 モチーフに対する確信的とも言える潔さは秀逸以外の何物でもない、織物商で作品を見た時、思わず、ため息が漏れてしまいました。 なぜ、ありふれたすずらんを?という思いはチラと(微かに)よぎりました。 でも、眺めているそばから、どんどん惹き込まれてしまったのです。
秀逸な作品と言うものは往々にしてそうしたものです。 テーマ、モチーフがありふれたものであったとしても、一瞬のうちに、スーッと心の中に入ってくるのです。 つまり…、制作者が心底楽しんで創っているんですね。そう思いました。 どこをどうすれば、「好き」が生まれるのかをちゃんと理解している。 簡単に言えば“真剣に向き合っている”のです。 これは私が一番大切に思っている部分でもあります。 要するに着物と女性を美しく魅せる帯としての美学に一切の妥協が無く、培われた美意識も高い、それゆえ師と並ぶ日も遠くない、と評されるのも頷ける。
たとえば本場結城であるとか、郡上紬であるとか、黄八丈であるとか、いわゆるそれ相応の着物を纏うとき、やはりただ意匠/designを模しただけの帯では着物の質感に負けてしまう。 これは経験された方ならわかると思う。 品の価格が高い、安いではない。 言葉にするのは難しいけれど、帯が持つ力、つまりゴテゴテした何かを盛らない、シンプルであるけれど上質を内包する帯は美しく好ましい。この作品は海松茶(みるちゃ)の地色にもかなり気を置いたのではないかと思う。 花の大きさ、葉とのバランスもかなり深いところで拘っている。 そしてこの作品のもう一つの驚き、前腹に突然飛来したかのように「青い燕」が絞り描かれているのです。 手先からたれ先まで、どこを見ても妥協の痕跡のない、そう、一点の妥協もない作品、実に心憎い作品なのです。
商品番号 |
HTT-KEZ-0117 |
商品名 |
絞り友禅九寸名古屋帯/小野順子作品 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥265,000 (帯地のみ仕立て無し/税込) ¥276,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
※お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸程。/ 長さは九尺八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
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