春疾風
白兎の浜の
波騒ぐ
鈴木照子
璦
【絞り染め九寸名古屋帯】
―波兎― 鬼しぼ縮緬地
制作/小野順子
絞り友禅の第一人者小野順子さんの作品です。 作品からは情景やそれらが奏でる音までも聴こえる(写し取られている)ように思います。 こうした作品の魅力は何かを写実的に写し取ることでは決してないし、もっと言えばそのものの描写が求められている訳ではありません。 染色家が捉えた対象物が作者のフィルターを通してどのように魅力的な姿に形を変えて表現されるのか、それが工芸染色作品の魅力であり、創作の醍醐味なのだと思います。 ご覧頂けますようにうさぎの姿、波の形、彩色、物語性、すべてにおいて秀逸であると言えます。
染色はもちろんのこと、絵画でも、あるいは書でも、そこに一片の美しさの籠められていないもの(製品や作品)を巧みな話術によって美しいと錯覚させてしまう手法も能力も私は持ち合わせていません。 私の目の前に在る美しさはそれ自ら美しさを放ち、有無を言わせないもの。 それらは唯々純粋に美しいと感じられるものであり、見る者の目を捉えて離さず、心を鷲掴みにするものが美しさだといつの時も思っています。 そしていつもそう発信しています。 私にとって仰々しい箱書きがなければ美しさが伝わらないないものや、美辞麗句?やそれらしい?ややこしい名前を貼り付けなければならないものは美しさとはならない。 そしてそれらの美しさの本質を見極める目に曇りが生じた時は潔く暖簾を下ろす時と思っています。
ご覧いただけますように、ほんの微かに、極僅かに赤みを感じる灰梅色の地に波兎が絞り染められています。 そう、波頭とうさぎが絞り描かれただけのdesignです。 兎は月神の神使と云われます。 月の象徴とも云われます。 古代中国では「月のうさぎは杵と臼で不老不死の薬を作っている」と考えられていました。 月神の神使、月の精とも云われる兎。 波の形も三日月の形に見立てて絞られました。
※ほっこり紬(※結城や飯田などの真綿系)に合うのはもちろんなのですが、黄八丈や大島などに適わせても素敵ですし、久留米などの木綿にも素敵ではないでしょうか。 弊店では参考に地機の結城紬に適わせてみました。
商品番号 |
HTT-KEZ-18 |
商品名 |
絞り友禅九寸名古屋帯/小野順子作品 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥220,000 (帯地のみ仕立て無し/税込) ¥231,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
※お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸程。/ 長さは九尺八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
|