仙人掌の
花の揺らめき
薄紅に
由良則子
集
【本紅型友禅九寸名古屋帯】
―サボテンの花―
制作/宮城里子
別誂え綾織地 着用時季・袷/単衣
そもそも古くは中国や東南アジア諸国、またポルトガル等との交易に大きな影響を受け、その中で独自の発展を遂げた紅型友禅。 染織に興味を持たれている方にとって「びんがた」と言う特殊な読み方、その歴史などはもうすでに十分にご存じかと思いますし、これまでにも度々解説をして参りましたのでこちらでは歴史的な背景などの解説は割愛させて頂きます。 さて、、今回ご紹介させて頂きます本紅型九寸名古屋帯、宮城里子さんの作品です。 宮城さんは1947年那覇市に生まれ、首里高校染織科卒業後、 「大城貞成紅型工房」入所、 「藤村玲子工房」を経て1977年、本紅型友禅作家宮城里子として歩を踏み出されました。 琉球本紅型ではご存じの大御所です。
ご覧頂きましての感想はいかがでしょうか。 その意匠、彩色のすべてが如何にも南国琉球を想わせてくれます。 ただ、こちら、よくある琉球本紅型とは一味も二味も違います。 また宮城里子さんの作品の中に在っても少し他とは異なるのです。 こうした染織に詳しい方ならもうすでにお気づきかも知れません。 そう、題材とされた「サボテン/仙人掌」です。 サボテンの花と言えばまず真っ先に思い出すのは「月下美人」でしょうか。 一夜限りの美しさ、知らない人はないのかもしれません。 サボテン/仙人掌の花は琉球沖縄では古くから厄除けの効果があると信じられていたそうです。
モチーフとされたサボテンは作品として見た時に当然ながら極めて大切なポイントです。 個人的に想ったのですが、きっとデッサンの初めは「ちょっとしたサボテンと花」、つまり、構図の中の一つであったのに、次第に「画」の中で重要なファクターとなったのではないかと。 どこか謎めいた構図から私はそう感じたのです。 サボテンの画となる力(つまりそれだけで成り立つ力)、を描き進める内に感じ、最後にはこうなった、そんな気がするのです。 でも、当然ながらそれには十分な絵心、絵筆の力量が必要になる。 だからこそ宮城里子さんの画筆技がしっかりしていることが大切で、そのことも、この作品に一本しっかりとした芯が感じられることで分るのです。 見事な感性で描き切った一点だと思います。
琉球紅型の綺麗な発色は多くの人の認めるところだと思います。 また私自身とても好きな彩色でもあります。 しかし、「作品」としての創造性を追及するあまり、ときに「装う布」としての適を超えてしまうことも少なくありません。 それゆえ、こちらの帯は、あえて「紅型友禅の印象」を消すこと無く、「街中において違和感の無い」印象となっています。 本流の紅型の存在感、本流の発色を絶妙な彩度で生かし、とても素敵な出来映えです。 人間国宝の作品と比していかほども劣るところはありませんし、構図や配色としての出来栄えに於いては凌駕しているのではとさえ感じさせてくれる見事な作品なのです。
※紬全般、木綿のお着物、江戸小紋などにどうぞ。
【追記】折々に想うのですが、本紅型に限らず何かの作品を種別する際、ときに作家や工房に拘り過ぎる事があります。 しかし、果たしてそれが「きものを装う」と言うことにおいてどれほどの意味を持つのでしょう…。 収集家/コレクターとして作品を種別して集める、また、美術館や博物館が自館のテーマに適ったものを収集する、等そこに適った意味合いを持つ場合も無論あります。 ただ、きものを“着る物”として“装う”ことが目的であるならば、きもの業界の利益に適った情報/宣伝に左右されたり、振り回されたりすることは本来のきものを「装う」という楽しみとはかけ離れたものになってしまいがちです。 いつもお話させて頂きますように 誰某作であるとか、何処工房の制作であると言う事は作品のあるひとつの側面であって、品質が良いという事とは必ずしもイコールではないのです。 あくまでも、“情報のひとつ”でしかなく、品質を“保証するものではない”のです。 あまりにも誤解を招く情報や誘導的な知識?が氾濫している為、こうしたページには相応しくない話題とは思いましたが、一言添えさせて頂きました。
商品番号 |
KMR-BGY-11 |
商品名 |
本紅型九寸名古屋帯/宮城里子作品・サボテンの花 |
品質 |
絹100%※別織り綾織地 |
価格 |
¥285,500 (表地/税込)→¥142,750
¥297,000 (芯仕立て上げ税込)→¥154,250 ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。
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巾/ 長さ |
お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸二分程。/ 長さは九尺八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
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