【八重山上布】
（沖縄県指定無形文化財）
制作/糸数江美子
染料/琉球藍・福木・楊梅
経糸/苧麻糸
緯糸/苧麻糸


八重山上布とは八重山諸島に自生するからむし/苧麻から手績みされた苧麻糸を織り込んだ草木染めの手織苧麻織物。　古くは赤縞上布と称されていた八重山上布、当時は貢納布として納められていました。　その八重山上布を制作しているのは糸数江美子さん。　同じ八重山上布の制作を手掛ける姉の新垣幸子さんに師事、後にご自身の工房（アトリエ）において制作されています。　八重山上布の染織家として文化財の保存の仕事にも尽力しておられ、平成２６年に沖縄県より指定文化財技術保持者の認定を受けています。

こちらに掲載致しました八重山上布、ほのかに緑みを感じる灰色の長市松の間を縫うように角花織が配されています。　ほぼ緑灰色の単彩で表現することで涼感、風感、を強く想わせてくれます。　苧麻糸の質感、織感も夏の織物らしくシンプルではあるのですが、苧麻糸特有の手織による歪みも、均衡も、軽さも、そのすべてが「自然/ナチュラル」であり続けるところが本当に良いと思えるのです。　 わざと歪めたり、あえて整えたりしていないところが、人の手を感じさせてくれて好感が持てるのです。　科布や葛布もいいんだけれどあの「堅さ」がちょっと…と、思われて躊躇されておられる方にはとても適品ではないでしょうか。