蛇苺
少女は秘密
持ちたがり
常盤しづ子
馬醉木
【型絵染/九寸名古屋帯】
―蛇使い― love&peace
制作/藤田順 紬地
古から言われます。墨は病幼い娘に磨らせるのが良い、墨は墨の重さで磨る。 つまり、墨と硯の触感を指先に感じながら磨るのが望ましい。 書家が墨を磨り、静寂と墨の香の中で筆を走らせる。 彩色のない静の世界の中でその掠れや形が却って思いもよらぬ躍動を想わせもする。 同じように染色家は自らスケッチをし、型をおこし、彩色を施し美しさを染め描き上げ作品とする。 染色作家である藤田順さんが制作の工程そのものを楽しんでいることが作品を通して伝わって来るのです。 要するに制作者である藤田順さんが美しさを感じている、だからこそ美しいのです。 その意味において染色作品は制作者の楽譜でありメロディーなんですね。 高名な染色作家の作品か、名もなき腕利き職人の作品かは作品の美しさを評価するにおいて些かの関係もありません。 染織において最も大切なことはその作品が「美しさの旋律」を奏でているかどうか…。 私には藤田順さんの奏でる彩色の旋律がこの作品から聴こえてくるのです。
今年2025年・令和7年は、実感(実感)のオツ(紀と)と十二支の(十二支)見(み)が組み号輪さった乙巳(きのと・み)ですね。※十干十二支は全部で六十種類あり、還暦(60歳)は自分が生まれた時の干支に戻ってきたことのお祝いです。
巳年、蛇は古(いにしえ)より神の使いと云われてきました。 古代インドでは仏教における守護神の1人とされています。 七福神では弁才天の使いとも、弁財天の化身と云われ神聖な存在とされています。本品は巳年にちなんで制作された作品ですが、蛇を物語性のある一枚の画とすることで巳年でなくてもお使いいただけるところも良いですね。
壺から身体を出した蛇たちが蛇つかいのおじいさんの笛の音に合わせて踊っています。 方々から集まって来た子ども達も楽し気に踊っています。 鶏も様子を見に来たのでしょうか。 インドの大道芸である蛇使いの光景がユーモアたっぷりに描き染められています。 顔のあるものは難しいといわれる画ですが、蛇使い、子ども達の表情が見事に表現されています。 藤田さんの作品にいつも魅せられてしまう私ですが、その度に画家の堀文子さんの言葉を思い出す。
「淋しさや孤独は絵描きの目を美しいものに向けてくれる」がある。時にこうも言っている「芸術とは、何物にも従属しない個々の生命のリアリズムである」とも。藤田さんの作品を見るにつけいつもその言葉を思い出すのです。
さてさて… では、どのような着物に適うのか…ですが。 こうした趣の在る帯は、やはり無地感覚の紬織物が良いかと思います。 色無地の結城紬、結城紬の千鳥格子や細縞、みさやま紬や郡上紬と言った質感を保った紬織物にはとても素敵な寄り添いを見せてくれる筈です。 弊店では無地織の結城紬に適わせてみました。 結城紬のほっこりとした生地風と調和してとてもやわらかな印象取り合わせとなりました。
商品番号 |
KTZ-NSH-69390 |
商品名 |
型絵染/九寸名古屋帯/藤田順作品 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥440,000(帯地のみ仕立て無し/税込) ¥451,500 (芯仕立上/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
八寸程/ 九尺八寸程・※お仕立て上がりの際のサイズ |
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