沖霞
膝に置きたる
甘きもの
橋本恵子
交響
白鷹御召/白たかお召
制作/小松紀夫
十字絣(蚊絣)飛び横段
白鷹御召、着物愛好家の方でしたら一度ならず耳にされた(目にされた)ことのある織物ではないでしょうか。 白鷹御召は東北山形で織られている縦緯絣の織物です。 絣括りは板締めと言う技法により行われます。 絣は方眼紙に図案を描き、分解して絣板の溝を彫ります。 溝が彫られたブナ材の板に糸を巻き付け、平らなもう1枚の板を重ねてきつく締めあげます。 これらをいくつも重ねてボルトのついた押し木でさらに締めます。 板はそれぞれに柄が彫ってあり、反物になる模様/柄を考えて板を組み合わせるのです。 板は込み入ったものになると50枚ほどの板を使うのですが、板に巻きつける際、一本一本の糸の張り/テンションが均一でないと布になったときに柄が綺麗に浮かび上がらないといいます。 (※現在、板締めの技法はほとんど残っていないのですが、その理由は“板が乾燥すると反ったり割れたりする、要するに板の管理がとても大変でやめてしまったんだと小松さんは言われます。) その後、染め舟という台の上に乗せ熱した染料を注ぎます。 いわゆる“ぶっかけ染”と称される染め技法で板を解くと溝の部分の糸が染まり絣糸が出来上がるのです。 その仕事も、絣を染める染めも、極めて精緻な絣を合わせながらの織りも、熟練の職人の手業抜きでは出来ません。 結城とは絣の括り方が異なりますがいずれにしても大変な作業工程を経て白鷹御召は織り上がるのです。
胡粉色(漆喰のような白)の地に薄墨色に染められた絣糸を使い、十字絣(蚊絣)が織り上げられた高機手織り織物-白たかお召(白鷹御召)です。 白鷹御召に付きましては余りにも有名ですし、大島、結城と並ぶ日本三大織物と言われるほどの織物です、のであえて解説は上記程度にさせて頂きます。 こちらのお品はとあるお客様よりお訊ねを頂き、他のお色目を探していたところ、ご縁があり入手した逸品です。 先にお話に出ました大島、結城と比して制作数が極めて少ないので「色目」以前に見掛けることが極端に少ない織物です。 ご覧戴けますように控え目な色で十字絣が横段に織り上げられています。 表面的には生成り地に十字絣が横段に織り上げられた織物、そんな風に目に映るのかもしれません。 そう言ってしまえば確かにそうなのですが、でも、そうした表面を捉えた第一印象は見ているうちに消えてしまいます。 横段の間にあしらわれた微かな余白、黄色と茶色で作られた大きな十字、薄茶の横段、これらが相まってよくある絣に見られる単調な印象を”静と動が混在する」大人びた印象に変え、単なる十字絣の織物という印象は消えてしまっているのです。 言葉にすれば、冬と春が交差する季節の移ろいを色に閉じ込めた織物…、雪の色、草木の生命が織り上げられた織物…、とでも言えば適うのでしょうか。
見れば見るほどやわらかな印象です。 こちらの御召織物にやわらかな印象を与えているのは細やかに配された色彩ばかりではありません。 細かい十字絣の美しさにも制作者の息吹を感じ取る事が出来ます。 一見すると特別変わったところはありません。 絣とは言うまでもなく経緯の印が交差して絣となるのですが、制作者はすべてを絣とせず微かな余白を創り出している。 それはこうした十字絣の織物の定番であるすべて十字で埋め尽くす、という意匠をあえて避け、規則的、且つ不規則な余白と大十字、横段を織り加えているのです。 それらがこの織物を単調になりがちな十字絣を表情を保ったやわらかな印象としているのです。 そうした様々な図りがこの御召織物に直接目にする美しさと、間接的に感じる美しさをもたらしているのです。 絣が強く目に映らない、織物として見た目以上の質感を感じさせてくれるのです。
規則的なようで均一に過ぎない揺らぎのような曖昧な部分もこの織物の質をむしろ押し上げていて意匠とされた横段や余白も裁ち合わせによってはうんと垢抜けた印象となるように思います。 こうした着物地は実際に着物となって装い頂きますとその印象は一変します。 地機の結城紬や郡上紬などの強い質感を保った着物と比べてもまったく見劣りしないどころか、もしかすると着心地は上回るかもしれません。 織りの帯で「ほっこり」とした印象、民芸的な印象を醸しだしたり、縮緬や塩瀬、紬の染め帯/型絵染めの帯などで都会的で垢抜けたな印象を楽しんで頂く事も出来る筈です。 そうしたときにこの着物の保つ力、御召織物としての質感をあらためて感じて頂けると思います。
奇抜な配色やデザインは決して好まない、とは言えありふれた平凡なものでは満足出来ないと思われている織物愛好家の方に是非ともお奨めしたい逸品です。
商品番号 |
NBM-STO-066 |
商品名 |
草木染手織り御召織物/白鷹御召/白たかお召し着物地 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥475,000(表地/税込) ¥529,000(袷仕立上げ/胴裏・八掛/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。 【※単衣仕立てをご希望の際はお尋ねください。】 |
巾/ 長さ |
39cm程(※約一尺二分)/※12m50cm程 (※約三丈三尺程) |
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