聞き役と
なりし蝶々
園巡る
柴田久子
風土
【型絵染め/九寸名古屋帯】
山本由季作品
銘/賑やかだったあの頃
紬地
どこか油彩を想わせるこちらの作品。この帯地を創作されたのは山本由季さん。1945年東京生まれ。 お父様は日本画家/山本丘人氏。 東京女子美術大学工芸科卒。 現在も国画会に出品を重ねておられます。 斯々然々、こちらの作品に関心を持たれる方にとってそうしたプロフィールなどどちらでもよい事なのかもしれません。 実際に私自身、背景や経緯にとりわけ関心がある訳ではないのです。 この作品が保つ存在感そのものに惹かれているだけなのです。 もちろんこちらの帯が、山本由季さんが手掛けた作品として評価されることも否定はしません。 そうした評価の仕方があることも承知しています。 しかし、いつも申し上げますように先入観を持つことを好まない私にとって、誰々作はとりわけ深い意味を持つ訳ではなく、やはりあくまでも単なる一つのデータやスペック以上のものとはなりえないのです。 以前、着物関連の書籍の中でこの様な件を読んだことがあります。 喜如嘉の芭蕉布を織る平敏子さんの言葉なのですが、“私は自分の織ったものに落款は捺さない、その理由は私は私の名前を買って欲しいとは思わないから…”というような言葉だったかと記憶しています。(※現在では織物商からの依頼品には要望により落款を捺されているようですが。)
型絵染めにて描かれているのは鳥や蝶、兎や花々です。 写実的ではありません。 制作者である山本由季さんの記憶の目によって描かれているのです。 つまり、制作者の主観で捉えた風景の一部を切り取ったものなのです。 生き物、草花をこよなく愛する山本由季さんが、ありのままの情景をそのまま表現するのではなく、山本由季さんが観察し、感性と言うキャンバスに映り込んだ情景が描かれているのです。 感じ取ったままに記憶し、想うままに下絵を描き、作品としているのです。 住まうのは冬の冷え込みのすざましい寒さ厳しい東北の山あいです。 零下に落ち込む東北の冬もやがて春が訪れます。 辺り一面白という白で閉ざされる長い冬が明けた陽射しの暖かみが作品から感じられます。 九寸と言う帯巾を使って表現された“絵”は植物や鳥、虫などの生命力に加え春を待ち侘びた気持ちに溢れています。ファンタジーのように見えるかもしれませんが決してそうではありません。こうした稚拙な解説などは陳腐に思えてしまう程、言葉などでは尽くせない表現力をもって伝わってくるようです。それはこの制作者のこれまでの長い染色の時間の堆積から自然に生み出される巧みな染色の技術、そして対象物を捉える感性からもたらされるものなのなのかもしれません。 極めて特徴的な感性と視点、そしてそれを表現するデッサン力、そのすべてが相俟って作品として現出しているのです。
商品番号 |
OTI-NAKA-06 |
商品名 |
型絵染九寸名古屋帯/山本由季作品 賑やかだったあの頃 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥353,000 (表地/税込) ¥364,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
※お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸~八寸二分程。/ 長さは九尺八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
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