月今宵
商都のビルを
統べてをり
本郷桂子
ホトトギス
【白たか織】
高機手織り
綾織り
白亜麻色
さっ、と見た第一印象は無地の様に見えるかもしれません。 苅安で染められた経糸に交差して渡される緯糸は梅で染められたもの。 一糸一糸がそれぞれに彩みを含み、規則正しく交差することでそれらは意図を超えた綾を絹布の上に作りだしています。 無地ではなく綾織の無地織、格子や縞などの決められた柄によらない手織りの紬織なのです。 円を描くように織り上げられた綾織りは見る角度や見方によっては細かな市松のようにも見えますし、円を繫いでいるようにも見えます。 また、染料をしっとりと湛えこむその糸質は極めて上質で時間の経過とともにゆっくりと色の深みを増していく。
以前にもお話した事がありますが、たとえば手織り、、。 わざわざ申し上げるまでもなく文字通りそれは「手」で織ることです。 そこで想うのですが…。 手で織ったからといって、その布にどのような価値が在るのか、特別な何かが付するのか…、と折りにふれ自問することがあります。 当然のことながら機械にだって布は織れる訳です。 むしろ機械で織り上げた布は均一で淀みもありません。 設けられた数値に基づき、常に正確に織り上げてゆきます。 ならば機械織で良いのではないか?。 良いのです。
布(絹布)に布以上の他のニュアンスを求めないのであればなにも手織りでなくても良いと思うのです。 ひとの手が織り上げるものはいつもどこか曖昧で正確無比なものではありません。 手織りはときに織り手のその時々の感情(機嫌)までもが「織り」に織り込まれます。 それが織のニュアンスとなって表れるのです。 結論付けてしまえば、不均衡や歪を美しく感じられる「眼」をお持ちか否か、によって価値観は異なるのかもしれません。
言うまでもなく、人には様々な価値観があります。 つまり手織物の価値を決めるのは制作者でもなければ、呉服商でもありません。 実際に着物としてお召しになる方、つまり、愛好されるひとが決める事なのです。 その価値を知るには一度でも着てみることです。 本物に触れてみることなのです。 表面的に似せられた“似て非なるもの”では決して本当の着心地/心地良さを味わう事は出来ないものなのです。 着物は呉服店のHPを彩るものではありません。 店頭を華やかに飾るためのものでもありません。 ひとが身体に纏うものです。 機械によらない、ひとの手による手加減はひとの身体にとても心地良く感じられるもののように思います。
いつものように話があちこちして申し訳ないのですが、要するにこうした品質にこだわりを持つ織物に私自身たいへんに弱いという事です。 うっかりぼんやり愛好家の目線で眺めていると、ついうっとりしてしまい、まるで魂が抜かれたみたいになってしまうのです。
“淡くきれいな色目を求めるけれど幼い印象は嫌、衒いを感じる派手なモノももちろんNG、手織り特有の曖昧さを織り感に残しながらも丁寧な織組織が見てわかる、そんな紬織物をコレクトしたい…”と言うとても曖昧模糊としたイメージがいま明確に現実の織物となってぽんと目の前に置かれているのです。
商品番号 |
OTI-STS-7 |
商品名 |
高機草木紬/白たか織 綾織り |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥225,000(表地のみ仕立て無し/税込) ¥267,000(単衣仕立/居敷当付き/税込) ¥279,000(袷仕立上げ/胴裏・八掛/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。 【※単衣仕立てをご希望の際はお尋ねください。】 |
巾/ 長さ |
38cm程(※約一尺)/※12.5m程 (※約三丈三尺程) |
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