月今宵
商都のビルを
統べてをり
本郷桂子
ホトトギス
【手織り綾織着尺】
市松生絹(いちまつすずし)
制作/勝山さと子
遠目にさっ、と見た第一印象は無地の様ですが、目を凝らして見てみますと、よく見掛ける市松とは異なる斜めに並べられた細かな市松文様だとわかります。手に取ってみるとすぐに染め物(いわゆるやわらかもの)でないこともわかります。 先染めされた極めて上質な生絹(すずし)糸で織り上げられた織物なのです。
手織り、、。文字通りそれは「手」で織ることです。 そこで想うのです…。 手で織ったからといって、その布にどのような価値が在るのか、特別な何かが付するのか…、と折りにふれ自分に問うてみることがあります。 当然のことながら機械にだって布は織れる訳です。 むしろ機械で織り上げた布は均一で淀みもありません。 設けられた数値に基づき、常に正確に織り上げてゆきます。 ならば機械織で良いのでは?。 良いのです。
布(絹布)に布以上の他のニュアンスを求めないのであればなにも手織りでなくても良いと思うのです。 ひとの手が織り上げるものはいつもどこか曖昧で正確無比なものではありません。 手織りはときに織り手のその時々の感情(機嫌)までもが「織り」に織り込まれます。 それが織のニュアンスとなって表れるのです。 結論付けてしまえば、不均衡や歪を美しく感じられる「眼」をお持ちか否か、によって価値観は異なるのかもしれません。
人にはそれぞれ様々な価値観があります。 つまり手織物の価値を決めるのは制作者でもなければ、呉服商でもありません。 実際に着物としてお召しになる方、つまり、愛好されるひとが決める事です。 その価値を知るには一度でも着てみることです。 本物に触れてみることなのです。 表面的に似せて作られた “似て非なるもの” では決して本当の着心地/心地良さを味わう事は出来ない。 着物は呉服店のHPやインスタグラムを彩るものではありません。 もちろん店頭を華やかに飾るためのものでもありません。 ひとが身体に纏うものです。 機械によらない、ひとの手による手加減はひとの身体にとても心地良く感じられるもののように思います。
本品のような品質に徹底的にこだわりを持つ織物に私自身たいへんに弱い。 うっかり、ぼんやり眺めていると、呉服店主としての目線から離れ、つい愛好家の目線で眺めてうっとりしてしまい、まるで魂が抜かれたみたいになってしまいます。
“淡くきれいな色目を求めるけれど派手な印象は嫌、衒いを感じる奇抜なモノももちろんNG、手織り特有の曖昧さを織り感に残しながらも丁寧な織組織が見てわかる、そんな紬織物をコレクトしたい…”と言うとても曖昧模糊としたイメージを明確に現実の織物となって織り上げた、そんな市松生絹綾織着物地です。 お誂えいただきましたて少しの間は生地の張をお感じになると思います。 単衣でお仕立てをされる際にはそれがとても心地良く、1シーズン後に洗いを掛けられますと更に風合いを増してゆく、そんなお着物です。 もちろん袷でもお召いただけます。
商品番号 |
OTI-STS-72 |
商品名 |
市松生絹(いちまつすずし)勝山さと子 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥375,000(表地のみ仕立て無し/税込) ¥417,000(単衣仕立/居敷当付き/税込) ¥429,000(袷仕立上げ/胴裏・八掛/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。 【※単衣仕立てをご希望の際はお尋ねください。】 |
巾/ 長さ |
40cm程(※約一尺五分)/※12.5m程 (※約三丈三尺程) |
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