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【長板中形九寸名古屋帯】 ―水玉すかし―
制作/松原孝司
玉藍染め
昨夏掲載致しました長板の藍とはまた異なった魅力を持つ藍、、。 藍そのものが持つ魅力、美しさを掘り下げていくと、やはりそこには綺麗、とはある意味反対の美しさを想います。日本語になってないですね(笑) こんな言い方をしてしまいますと身も蓋も無いのですが、藍の美しさってきっとかすれた美しさ、つまり綺麗過ぎない美しさなのではないかと思います。 おろしたてのブルージンが経年と共に味わいを深め、インディゴblueが美しく変化する、そうした美しさがそもそも本藍(化学藍は濃紺!って感じですが)にはあるんですね。 見方によっては退色ともいえるかも知れませんし、あくまでも好みの部分が大きいことなのでそこにこだわるのもこれまた個人差がある訳です。 老若男女、すべての人の目に美しく映ること、それが工藝のあるべき姿、なんて言われる方もありますが、私はそうは思いません。 難解なものを更に難解に見せる、なんてことはナンセンスの極みだと思いますが、必要以上に噛み砕くことも不要だと思っています。 こうした工藝はあくまでもわからないものを“自分で”咀嚼して身につけてゆく、その過程も含めて工藝、工藝を愉しむことに繋がるのだと思うのです。 ですから初めのうちはわからなくて良いのです。 一つ一つ経験して自分のものになさってください。 と、いつものようにどんどん作品からは離れた解説になってしまいますのでこの辺りで…。
さてこちら、人間国宝であられた故松原定吉さんの技と哲学を継承し、現代も当時と変わらない古式技法で作品を作り続けておられる松原孝司さんの作品、長板中形の九寸名古屋帯です。 松原孝司さん独特の藍…、「澄まし建」と呼ばれる独自の藍建によるもので世界的にJapanBlueと称賛される鮮やかな藍色とはそのニュアンスが少し異なります。 徳島産の植物藍を使い、道具も糊も型紙も何もかも天然の素材を使用しています。 柳宗悦の言う「よき工芸はよき天然の上に宿る」がまさに具現化された世界、「本物の手仕事」と言えます。 松原さんの作品における藍の特長は目に鮮やかな藍ではなく、経年し、いくらか退色したかのように見えるや硬さを感じさせないわらかな風情の藍色。 自然が年輪を加えたかのような藍色です。 そう、よく見かける目に眩しく鮮やかに映り込んでくるような藍色ではないのです。
意図して抑えられた藍色は、言わば古布のような印象さえ感じさせます。 それが、この市松取りの中に丸紋を配した生地に染められた「透かしの水玉模様」の現代と古典の融合とも言える意匠と相俟って方々に見掛ける長板中形の模様とは一つも二つも異なる魅力的な表情となっています。 水玉模様は染色の歴史を紐解きますとずいぶん古くから存在していることがわかります。 紀元前にギリシャの王妃のドレスに使われた記録を見ることが出来ます。 日本では現存する資料では「伊達政宗の水玉模様陣羽織」がありますが、実は安土桃山時代に伝えられたとの文献もあります。 また、伊達政宗の水玉模様陣羽織は西洋のポルカドットではなく、天空の星空がモチーフとも言われますが、、そう思うと水玉も天空の星、もっと言えば星が降るかのような雪のようにも見えてきます。 そう、文様はまさに見る者の心模様でもあるのです。
この中形を染められたのは松原孝司さんです。 型絵染の染織家である添田敏子さんが表現する「蕪」や「葡萄」がことのほか魅力的なのと同じように、松原さんが表現する文様は長板中形の魅力に溢れ、加えて藍染めの保つ魅力のすべてを引き出しているように思えます。 無論、同様のものはちょっと他には見当たらないのです。
※いつも申し上げるのですが画像は藍色が際立ったり、深くしずんだり、と様々な表情をみせておりますが、どれもこの一枚が保つ表情なのです。 室内、室内でも陽光の近く、離れたところ、撮影した時間、などでいろいろな藍色を見せてくれるのです。 それもまた本藍染めの魅力ではないでしょうか。 ※付け足しのように申し上げます。 様々な明度、彩度で藍が写っております。 本藍は陽光や、時間などで様々な表情見せてくれます。 ですので、どの画像が実際に近いの?とお訊ね頂きますことがございますが、そのどれもがその時に映し出された藍の色なのです。 どうぞそのようにご理解くださいませ。
※着用画像/コーデ画像と商品単体画像で色が異なる場合がございます。
※商品単体画像を実際のお品により近づけております。
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【お仕立てなど】
まずは弊店において検品します。その後、弊店専属の一級技能和裁士に仕立てを依頼するのですが、和裁士においても私共呉服店とは異なる目線で改めて厳しく検品をしております。 着物、羽織物、などご指定の寸法がございましたらお知らせください。 弊店で割り出すことも可能です。 また、帯のお仕立てに際しましても、帯芯の厚さ、硬さ、帯の仕上がりの長さ、巾など、寸法につきましてご希望/ご相談などございましたら、お申し付けください。
【色みなど】
ホームページに掲載のお品の色みは基本何百枚も撮影し、出来る限り色調整の必要の少ない画像を選択しております。色調整を掛け過ぎるとどうしてもどこかに無理が出て実際のお品の色質感とは離れたものになってしまうからです。 ですので出来うる限り、実際のお品のお色目、質感に近いものを掲載しておりますが、お客様がお使いのPC、OS、ディスプレイ/モニターによりお色目が微妙にが異なる場合がございます。 ご理解賜りますようお願い申し上げます。※iphoneなどのスマートフォンからもご覧頂きますとより正確なお色目が伝わる場合があります。
【お手入れなど】
お求め頂きました後、日常にお使いの際のお手入れは、着物の場合、衿の皮脂/ファンデーション汚れなど気になる個所の部分的なしみ落としで十分です。 帯に関しましてはそれほど必要ありませんが、もし前腹などよく触れる部分など気になりましたら、しばらくお使いにならない折にお手入れをお奨めしております。 また、絹物、一部木綿はご家庭での水洗いは出来ませんので、ご注意下さい。
【在庫について】
実際の店舗におきましても同時にお品を販売しております。 ご注文/お申し出を賜りました時点で、「SOLDOUT」が表示されていなくても売り切れの場合がございます。先着順となりますので予めご了承下さい。
商品番号 |
OTK-NAOR-0242 |
商品名 |
長板中形九寸名古屋帯/玉藍染水玉すかし 松原孝司 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥275,000 (表地/税込) ¥286,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。
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巾/ 長さ |
お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸~八寸二分程。/ 長さは九尺八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
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[お仕立てをご希望のお客さまへ]
カードでお支払いをご希望のお客さまで「お仕立て」をご希望されるお客様は
カード決済のお手続きの際にそのまま「反物」の価格にてお手続きをお願いいたします。
後ほど、弊店より「お仕立て」の有無のご確認をさせて頂きます。
ご了承頂きました後に「お仕立て代金込み」の金額に変更させて頂きます。
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