夜桜の
紗にくるまるる
思ひかな
杉山瑞恵
雨月
【小倉織九寸名古屋帯】
―夜想― 草木染/手織 小倉織/小倉縞
制作/内山啓太 着用時季・通年
築城イムズを身体に、手先に、脳裏に浸透させた継承者。 築城イムズを受け継ぐ数少ない男性染織家、内山啓太。 細心にして大胆、常に創造者たれ、との築城氏の教えを視覚、触覚、嗅覚(感性)で教え込まれたことが表れた作品。 師である築城則子さんの縞は、眺めていると揺れると言われます。 もちろん実際に縞そのものが揺れる訳ではありません。 あくまでも錯覚なのですが、どこまでも交わることのない縞はその密度やグラデーション(濃淡)により、揺れるように見える瞬間があるのです。 それは平面ではなくそこに存在する空気感を作品に織り籠めているから。 経糸の色が強く鮮やかにあらわれ、その濃淡による立体感が揺れるように見せるのかも知れません。 内山さんが創る小倉織もまた同じ、経緯共に糸が木綿というその確りとした織りが、小倉織特有(固有かな?)のみっちりと目の詰まった上質な艶感のある生地を創り出しています。 縞の帯、と言ってしまえばそれだけなのですが、彩の綾とでも言えば良いのでしょうか、色の積層の美しさがひと際魅力的です。
上記でも触れました小倉織の特徴は極細の木綿糸です。 経に通常の三倍近いおよそ2300~2400本の糸を使っているため、なんと緯糸が見えません。 着物でも帯でも基本巾は同じです。 三倍近い糸を使うという事はおよそ三分の一というしなやかで細い、加えて堅牢な糸が必要とされる訳です。 またそれゆえに織りでグラデーションを表現することが可能となるのです。 糸のひといろ一色、一見した瞬間にはわからないかもしれません。 糸一本一本がそれぞれに主張しながらも隣り合う糸の色を補正しときに交わるかのように見えるその色は決して交わることはありません。 隣同士の色が互いを引き立てより美しく見せあうことでこの印象が出来上がるのです。 つまり、経糸の密度を通常の織物の二倍から三倍の二千三百本にすることでより一層その揺らぎは美しさを増して見る者に深いため息をつかせるのです。 それはある種制作者のみが手にすることの許された愉悦と言っても良いのかもしれません。 私が大切に育てている葡萄の木の若い茎に真珠体という結晶のようなもの見ることが出来る。 見つめるとその繊細さを創ったものを思う。 一枚の葡萄の葉と小倉縞、どちらもかけがえのない美しいもの。
※画像の着物/明石上布小紋染め・帆船
内山啓太[うちやまけいた]
1983年福岡県北九州市生まれ。染織家。 日本工芸会正会員。 福岡県美術協会正会員。 2001年京都で染織を学び、2003年「遊生(ゆう)染織工房」主宰、築城則子氏に師事。 2008年独立。 2011年、福岡県美術展覧会県知事賞受賞。日本伝統工芸染織展文化庁長官賞。
商品番号 |
OTK-NAOR-99 |
商品名 |
草木染手織九寸名古屋帯/内山啓太 小倉織小倉「夜想」 |
品質 |
綿100% |
価格 |
¥615,000(帯地のみ仕立て無し/税込) ¥626,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
※お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸二分程。/ 長さは九尺八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
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