手に余る
薔薇祝ぎの曲
歌ひ終へ
本城布沙女
雨月
【東京友禅九寸名古屋帯】 制作/久呂田明功
―薔薇― 手描き 古代縮緬地
江戸友禅、たとえば下絵を露草の花汁を用いて描く、防染の糊は糯粉で作る事、糊に程よい柔らかさを保つように荒塩を混ぜる、などなど江戸友禅の技法的な特長はいくらでもありますが、それらをいくら語ったところで江戸友禅の魅力をお伝えすることにはなりません。 友禅の頂点を描きたいと、友禅士が見出してきた技法も時代の移り変わりと共にと変りつつあります。 時代が許さないのはなにも染織ばかりではありませんが…。 いまでも残されている特長は分業の京友禅と違い友禅士が一人で染め上げるところかもしれません。(もちろん厳密に言えばそうでない事もありますが)それゆえに江戸友禅の作品には職人の個性が良くも悪しくも表れるのです。 75点主義のお品はありません。 評価されるか否か。 厳しい世界でもあります。
さて、こちら、三代久呂田明功氏の手描きによる作品です。 描かれている題材は薔薇、いわゆる洋物なのですが、ひと目見てお感じいただけますようにいかにも江戸友禅(東京友禅)然とした意匠、構図、彩色です。 第一印象で言えば、江戸友禅以外の何物でもない、それほど古典的な友禅で薔薇が描かれています。 彩色も江戸友禅特有でなんとも魅力的な発色です。 もっと言えば江戸友禅でないと出せない、そう言ってしまっても決して言いすぎではない美しさです。 友禅を見慣れないと京友禅との区別が分からないのかもしれません。 そもそも友禅そのものがよく判らない、と言う方も居られるかもしれません。 友禅そのものについて書き始めますと取り留めのないものになりますので友禅そのものについては検索して頂くこととして…。
「 白ばらの匂う夕べは」
原詩作者不明
訳詩 高橋伸夫
白ばらの匂う夕べは
月も夢を見ている
窓辺のまがきの闇にもほのかに
別れた友の手
ひとりおもう
白ばらの匂う夕べは
月も夢を見ている
薔薇を詠ったものはロマンチックなものが多いですね。 句も歌もたくさんあります。 加藤登紀子さんが歌う「百万本の薔薇」
「百万本のバラ」はもともとはラトビアの子守唄。 ラトビアの反体制派詩人、レオンス・ブリエディスの作詞。かいつまんで書けば、そもそもの歌詞には、ラトビアを支配してきたソ連への抗議の強い想いが込められている。 当時のソ連の放送局では、ロシア語の歌以外は禁止されていた。 つまりラトビア語の歌はロシア語に翻訳されたんですね。 ロシア語の歌詞をつけたのが、アンドレイ・ボズネセンスキーという反体制派の詩人でした。 そして後にボズネセンスキーはこの歌の歌詞をフランスの女優に恋したジョージアの絵描き、ニコ・ピロスマニを主人公に恋物語にしつらえた、という背景があるようです。 薔薇という花は当時も今も多くの人々の人生、に歌われ、愛されてきた花なんだと思います。
画にはアンティーク然とした風情が漂います。 やはりその印象は古代友禅と言った方がわかりやすいかも知れません。 古(いにしえ)の染色のような趣を感じます。 見るほどに彩色の妙を知り尽くした染色家の英知の仕業だとわかります。 …然し美しいですね。。。 どれほど長い時間を掛けて眺めていてもその印象が揺らぐことはありません。 数多ある江戸友禅とは確実に一線を画した極めて魅力的な染色です。 参考までに本場結城紬と小熊素子さんの手織真綿紬に適わせてみました。 江戸小紋や色無地、軽い附下に適うのは申し上げるまでもないのですが、こうしたカジュアルな紬に適わせても素敵です。
商品番号 |
SJE-KRK-360 |
商品名 |
手描き友禅/九寸名古屋帯 久呂田明功作 薔薇/古代縮緬地 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥297,000 (帯地のみ仕立て無し/税込) ¥308,500(芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
※お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸~八寸二分程。/ 長さは九尺七寸~八寸程。多少の変更は出来ますのでお訊ねくださいませ。 |
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