鹿が目を
しばたたかせて
花の雨
金森教子
雨月
【本場結城紬】 地機(※居座機・いざり機)
極小十字絣・蚊絣ソロ
○生産者履歴
繭/福島産
保原産「入金真綿」
〈糸取り〉
倉持みつえ・
和久井静江・
久保谷ひな
〈糸選び、整経、糊つけ〉
須藤伸子
〈絣つくり〉
小田部康男
〈地機織り〉
岩渕静子
ご覧頂けますように極めて美しく、極めて細かな細工です。 真綿糸でつくられる蚊絣(十字絣)としてこれ以上精緻な細工は無いといっても決して言い過ぎではないと思います。 ここまで十字絣が綺麗に揃うことは、こうして書く以上に容易なことではないのです。 絣の印を付ける際に僅か0.5ミリずれてもこうした精緻な十字絣は出来ない。 その一点だけを取り上げてもこの蚊絣は極めて美しい。 眺めていると裁ちを入れてしまって良いものか、と思う程美しい織物です。
設計図をご覧頂いてもお分かり頂けますが、まさに「精緻の極み」極僅かなずれも許されない、コンマmm単位の正確さで絣の個所を測りながら絣をつくるだけでも相当な日数を要したのは容易に想像出来ます。 そしてそれを機に掛けこの精緻な絣を織り上げてゆくのは気の遠くなるような仕事であったろう、と畏敬の念を禁じ得ない。 この結城紬の最高にして最大の魅力はこの精緻極むる絣ではないかと思います。
さて、本場結城紬の地機の中でも更に選りすぐられた地機だけを集めた特別な個展が2月末/3月初め京都上本能寺前町の余花庵において催されていた。 数年をかけて織りためられ、選りすぐられた見事な本結城の数々に(とは言え全数で20点余り)あまりにも夢中になり、僅か一時間程の滞在だったのだが、すっかりくたくたになり、「ほかの個展はもういいか」と余力を失ってしまうほどでした。
でも、こんな機会はもう二度とない、何がなんでも観ておきたかった特別な個展でもあり、観なければ後悔すること必至、「染織の神様に後ろ髪はない」をかつて幾度も経験し、悔し涙を溜めた苦い思い出もあり、とりあえず観るだけでも、と。 …しかしながら…、今月はもうすでに仕入れの予算の枠はない…のが現実、という厳しい現実も。。。
あぁ、美しい! いやいや予算はどうにかする。欲しい、欲しい何が何でも。 興奮の冷めやらぬまま、私はこれを書いております。
この「蚊絣 ソロ」の美しさといったらどうですか。 ご存知のように細かい十字絣のことを蚊絣と呼びます。 実際には小さなキの字になっており、とりわけこちら、とても絣が小さいので遠目には点(ドット)に見えます。 蚊絣が水平、垂直方向にまっすぐ並んだものを産地ではソロと呼びます。 ただ、ここまで極小の蚊絣を見ることは多くない。 というかほとんど見ることのない稀なもの。 ある程度の大きさの蚊絣とは違って十字のずれが許されないため(はっきりと目立つため)、絣一つ一つの精度がより強く求められます。 こちらは繭の養蚕農家に始まり、糸の産地、糸取り、糸作り、絣括り、地機織り、その一つ一つに厳格な制約があり、織組織としては最も単純とされる平織のみ、なのですが、こんなに美しい織物(布)が世界に他にあるだろうか、思わせるほど、見る者を魅了してやまない魅力があるのです。
極上の着心地と賞される「いざり機」によって織り上げられた「本場結城紬/地機/極小十絣ソロ」。 すべての工程が地機としての基準を満たすべく、手間暇の掛けられた”本場結城紬/地機”のそれは求める人の期待を決して裏切ることはない。 いざり機により織られる結城紬/地機の極上の着心地、羽衣とも賞されるそれは些かも過ぎた評価ではないのです。まるで蚕の恵である繭が「ひと」の「手」によって真綿糸につくられ、またその「ひと」の「手」によって紬織物と言う形でやわらかな繭に戻るかのようなのです。 だからでしょうか、その表情は自然の趣に溢れ、また素朴でありながらも単なる紬織物とは異なる印象を見せてくれるのです。 でも、実はそれそこが本場結城紬の固有の個性であり、まさに本場結城紬ならではと言える所以なのです。 私の狭い見識において繭から引き出された糸が織り上げられてまた繭に戻るような印象を保った紬織物を他に知りません。 糸の美しさと絣の美しさ、織の美しさとそれが織りなす表情の美しさを、感覚的、視覚的に、言語的に一つに繋げる術を知らない私ですが、大切な何かと引きかえにしても手元に置きたく仕入れたことでその価値をご想像頂ければと思います。
こちらは、弌の始めから終わりまで徹底的に「糸質」に拘り、「極小絣」に拘り、「居座機」に拘りました。 それは本場結城紬の織元としての誇りであるのかもしれません。 お袖を通したその瞬間、これまでのものとはまるで違う初めての着心地に頷かされてしまう、そんな結城紬です。 ※日展会友/中来田万里(柘榴) 絞り友禅作家/小野順子(すずらん) 摺り友禅多ち花/李朝の民画 を適わせてみました。
商品番号 |
TS-OR-188 |
商品名 |
本場結城紬/地機(いざり機)・極小十字絣/蚊絣ソロ |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥0(表地のみ仕立て無し/税込) ¥0(単衣仕立/居敷当付き/税込)¥0(袷仕立上げ/胴裏・八掛/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。 【※単衣仕立てをご希望の際はお尋ねください。】 |
巾/ 長さ |
一尺二分※約38.5cm程/ 三丈四尺三寸※13m程 ※裄/一尺九寸程取れます。 (多少の誤差はご容赦下さい。) |
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