からっ風
三寒四温
春近む
璃茶
拙句
【手描き友禅九寸名古屋帯】
塩瀬地
一ギボウシ一
日本工芸会/湯本エリ子
1951名古屋市生まれ
1973山科春宣氏に師事
友禅の基礎を習得
作品から制作者が“描く、染める”を愉しんでいることがじわと伝わってきます。<友禅という仕事が好き、考えていたり、想っていたりするのはそのことばかり。> 京友禅染色家/湯本エリ子さんの言葉です。 だからと言って魔法の壺をこするように次々アイデアが湧き起こる訳ではないようです。 脳細胞が膿み腫れるような日々も幾つも幾つも重ね、デッサンが描き上がり、ようやく図案として描き上がるのです。(だそうです。) そして魂の込められたかのような作品は、まるで「このひとに着てほしい、締めてほしい…」と作品が思っているかの如く、求めている人のところに収まる。 それはまさに染色家の魂と愛好家の魂が惹き合うかのよう…。
真っ新な白地のキャンバスにひとすじの筆を走らせるところから創造は始まります。 もっと正確に記すなら、制作者の想像/イマジネーションと言う目に見えないキャンバスに小さな点(印)が描きおかれるところからそれは始まっているとも言えます。 ひとひらの閃きが花びらのように積み重なり、時に風に吹かれるかのごとく形を変え、やがて一つの模様となり意匠/デザインとなり、ひとの目を魅了する。 そもそもデザインとはそうしたものかもしれません。 積み重ねた経験の中で極限まで無駄をそぎ落とした結果であったり、感性や想像を凝らし、表面的な無駄や虚飾を装った意匠であったり、対象物を最大限に浮かび上がらせるための余白の美しさであったり…。
画かれたのは「ギボウシ」 如何にも湯本エリ子さんを想わせるデザイン化されたギボウシが描かれています。 「和文化」を想わせる彩色/文様ではありません。 京友禅然とした印象を感じることはなく、むしろ私の目には手描き友禅と型絵染が混在しているかに見えます。 でも、不思議なことに眺めていて染み入るように感じるものは確実に京都の友禅としての美しさなのです。
「染色工藝」として完璧に完成された美しさが、いかにも日本的な美しさを醸し出しています。 そしてその丁寧が尽くされた手描き友禅が帯地としての価値観、一枚の画としての価値観を高めています。 ギボウシという着物や帯の題材としては少し珍しい意匠文様でありながら、微かな違和感を抱かせることなく美しさと品を湛えています。 そして、どれだけ長い時間眺めていてもそれはまるで墨画の様に私たち日本人に訴えかける意匠/designとして、些かも物足りなさを感じさせない極めて高い友禅としての「上質」を見せ続けてくれるのです。
手描きの細部に目を向けてみると、極めて丁寧な糸目で縁取りが施されていることが判ります。 光と影で表現されたギボウシ…、色彩の印象を巧みに操作することによってこれまでに見た記憶のないギボウシの画を作り出しています。 ギボウシの姿形を写実的に描き写しているようでいて実はそうではありません。 ギボウシの姿を模写することは友禅作家であればそれほど難しいことではありません。 或いはよく見掛けるようにPCでデザインを取り込み写真版で染めるのならば、その方がいわゆるところの綺麗な(笑)染物となるのだと思います。 しかし、ひとつの染織工芸として美しさの表現が主であるならば…。
こちらの帯はお洒落帯として描き染められている訳なのですが、ギボウシをそのまま模写するのではなく、手描き友禅の染色工藝作品として確実に昇華させています。 その意味でこちらの作品は写真版で量産される手描き風の染物とは確実に一線を画しています。 もう一つ、加えて申し上げるならば、手描き友禅による細密な彩色の表現、染色作家の仕事の迫力が染色の表面だけでなく、質感のすべてに有無を言わさぬ力を持って見る人の目を魅了するのです。 つまり、ひと目でそれを想わせる、上質極むる染色工芸品と言えます。 見事に美しい染色だと思います。
| 商品番号 |
YME-SJE-8 |
| 商品名 |
手描き友禅九寸名古屋帯/湯本エリ子 作品・ギボウシ |
| 品質 |
絹100% |
| 価格 |
¥286,000 (表地/税込) ¥297,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。 |
| 巾/ 長さ |
お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸二分程。/ 長さは九尺八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
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