麦笛や
幼きころの
同じ音に
竹内弘子
あを
【型絵染九寸名古屋帯】
―夢の記憶―
制作/国画会 中島敬子
別誂え紬地
私たち人の「脳」は前以て知識や情報を与えられると、ある一定の先入観に捉われてしまうようです。 自分の眼に映ったそれが何であるのか、予備知識を得ない第一印象、直感や五感、第六感で受け止める事で初めて正確なjudgeを知る事が出来るように思います。 ひとに本来備わっている直感や感覚を研ぎ澄まし、感性を司るすべてをつまびらかにして初めて感じられるものがある筈です。 そのあとでじっくりと関連情報を見聞きする。。。 この順序こそ、作品を見る際、最も私が大切にしている方法です。 たいそうな言い方をすれば、それが私の“作品を見る”「流儀」なのです。 予備知識や事前の情報を基礎として作品を見る事は好みません。 申し上げたように余計な知識や情報はときに直感の邪魔をして見える筈の何かを閉じ籠めてしまったり、存在しない価値を摺り込まれてしまったりすることもあります。 やはり私にはそうした先入観を持って作品を見る事が良いとは決して思えないのです。
さて、こちら 「夢の記憶」と銘された作品です。 …もちろん私には、何が描かれているのか、まったくわからないのですが、幼い日の記憶、野山を駆け巡った足の感触、目に映った山や丘、そうした様々がただそこに描かれているように見えます。 でも、本当に創意もなく描かれているのだしたら、これほどの印象にはならなかったと思います。 こうした染織家の創意に満ちた作品はそこが面白いんですね。。。 明らかに凡夫の私の退屈な感覚などとは確実に違う訳です。 この作品の制作者である中島敬子さんの眼には野山に咲く花や草、季節ごとに移る風景がこうした姿で映っているのです。 染織、とりわけ「染色」にとって、感じ取るもののすべては自然の一部です。 だからと言って自然のすべてをそのまま写実的に取り込んでいる訳ではないのです。 いつの日か中島敬子さんが観察した花や草、蝶が、中島敬子さんの心象風景に映り込んだものが或る日再現されるのです。
ちょっとお話はいつものように逸れますが、20世紀最高の天才アーティストと称される「パブロピカソ」何を以て最高と称されるのか、また、どこを評して天才と称されるのかも様々な論があります。 また、ピカソの描く「絵」が上手いのか下手なのかも私のような素人には判りません。 一般的に何かの対象物を描く際、そのものが保つ姿形の中で、描く者が好むアングルで画題となる対象物を捉えます。 ときにそれは正面からであったり、斜めからの角度であったり。。。 それはごく当たり前に誰しもが保つ発想と言えるかと思います。 つまりは「普通」な訳です。
では、ピカソの描く「絵」はと言えば… よく知られているあのおかしな顔?の絵(私個人はピカソの真髄はそこではないと思っています。) ご存知のように一枚の絵の中に 正面の顔と横向きの顔がひとつに描かれています。 まさに概念の創造であり、ピカソのアートなのです。 中島敬子さんの作品を同じ視点で論じるつもりはありません。 中島敬子さんは型絵染の染織作家で在り、国画会の重鎮、故/添田敏子に師事し、制作活動を続けておられます。 2001年、第75回国展に初入選され、翌2002年76回国展に新人賞を受賞され染織作家として将来を嘱望されています。 添田敏子と言えば 独特の視点で捉えるモチーフはあまりにも有名です。 私も添田敏子氏の作品は好みとするところです。 もっと言えば、作品と言うよりも対象物を観るその独特の捉え方が好きなのです。
中島敬子さんの対象物の捉え方も添田敏子同様に独特の感性が啓かれています。 作品には時の経過と共に朽ち果ててゆくであろう対象物、いずれは枯れてしまうであろう短い草花の生命、ひとつの季節の中の僅かな日のうちにその生命や生涯を布に写しとって残したいという身近なものへの愛情が感じられるのです。 そも、中島敬子さんが、着物愛好家に人気を博しているのは、表現の根底に在る染織に対する愛情が観る者の心を揺さぶるからではないでしょうか。 違う視点でそれを捉えれば 即ちそれは染織作家自身の染織に対する敬意であるとも言えるのです。
こちらの作品は手織りの紬織物に型絵染で草花らしきものが染められたものとなります。 無地感覚の紬織物、とりわけ素朴さの残る紬織物に適わせて頂きますととても素敵ではないでしょうか。 民芸的な印象ではなく、どこかアートを感じさせてくれる作品です。 そして極めて素敵な作品だと思います。
※また、こうした工藝染色作品には、顔料や植物染料などの天然染料が使われているため、擦ることで色移りすることがございます。 使われた生地は手織りの紬織物。
上質な無地感覚の紬織物など等…、あえて申し上げれば結城紬、飯田紬、伊奈紬、三才山紬、黄八丈、大島紬などの着物に適わせて頂きますととても素敵ですし、藍の絣織物、などに適わせて頂きましても、極めて魅力的な取り合わせとなるのではないでしょうか…。 染めには顔料が使われております。色移りをすることがございますので予めご承知おきください。
※着用画像/コーデ画像と商品単体画像で色が異なる場合がございます。
※商品単体画像を実物により近づけております。
※光の加減・ブラウザ環境等により写真と実物では多少誤差があることがございます。あらかじめご了承くださいませ。
【お仕立てなど】
まずは弊店において検品します。その後、弊店専属の一級技能和裁士に仕立てを依頼するのですが、和裁士においても私共呉服店とは異なる目線で改めて厳しく検品をしております。 着物、羽織物、などご指定の寸法がございましたらお知らせください。 弊店で割り出すことも可能です。 また、帯のお仕立てに際しましても、帯芯の厚さ、硬さ、帯の仕上がりの長さ、巾など、寸法につきましてご希望/ご相談などございましたら、お申し付けください。
【色みなど】
ホームページに掲載のお品の色みは基本何百枚も撮影し、出来る限り色調整の必要の少ない画像を選択しております。色調整を掛け過ぎるとどうしてもどこかに無理が出て実際のお品の色質感とは離れたものになってしまうからです。 ですので出来うる限り、実際のお品のお色目、質感に近いものを掲載しておりますが、お客様がお使いのPC、OS、ディスプレイ/モニターによりお色目が微妙にが異なる場合がございます。 ご理解賜りますようお願い申し上げます。※iphoneなどのスマートフォンからもご覧頂きますとより正確なお色目が伝わる場合があります。
【お手入れなど】
お求め頂きました後、日常にお使いの際のお手入れは、着物の場合、衿の皮脂/ファンデーション汚れなど気になる個所の部分的なしみ落としで十分です。 帯に関しましてはそれほど必要ありませんが、もし前腹などよく触れる部分など気になりましたら、しばらくお使いにならない折にお手入れをお奨めしております。 また、絹物、一部木綿はご家庭での水洗いは出来ませんので、ご注意下さい。
【在庫について】
実際の店舗におきましても同時にお品を販売しております。 ご注文/お申し出を賜りました時点で、「SOLDOUT」が表示されていなくても売り切れの場合がございます。先着順となりますので予めご了承下さい。
商品番号 |
NAGOYA-SOME-3412 |
商品名 |
型絵染九寸名古屋帯/中島敬子作品「夢の記憶」 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥484,000 (表地/税込) ¥495,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
※お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸~八寸二分/ 長さは九尺八寸程。※多少の猶予はございますのでお訊ねくださいませ。 |
|
[お仕立てをご希望のお客さまへ]
カードでお支払いをご希望のお客さまで「お仕立て」をご希望されるお客様は
カード決済のお手続きの際にそのまま「反物」の価格にてお手続きをお願いいたします。
後ほど、弊店より「お仕立て」の有無のご確認をさせて頂きます。
ご了承頂きました後に「お仕立て代金込み」の金額に変更させて頂きます。
[現品事前確認をご希望のお客さまへ]
ご注文/ご購入に際して、現品を前もってご覧になられたい方は下記現品事前確認
についてを
ご覧くださいませ。詳しい流れのご案内をさせて頂いております。
→現品事前確認について
注/当ホームページに記載されている記事・画像などの無断転載/複製を禁じます。
転載/掲載をご希望の際は予めその旨、お問合わせ戴き承認を得てください。
無断転載/複製と認められる場合、法的措置が講じられる事もあります。
Copyright(C)2008 きもの水流 All Rights Reserved
■お仕立につきましては仕立て料金表はこちら をご参照下さい。
または、お電話・メール・ファクスにてお尋ね下さいませ。