水流の「季・とき」折々・・・
「季・とき」折々・・・ 2008年 12月27日(土)

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さて 先日、弊店のお客様であられるS氏が籍を置かれる「三河木綿研究会」により催された“会員の方による作品展”に招かれて 名古屋の南東に位置する岡崎市の旧金融機関跡地で催された個展を見て参りました。 会場とされた資料館の歴史的建造物としての佇まいも素敵なものでしたが 今日ではクラシカルとも言える内装の展示室に飾られた三河木綿はもはやただ単なる生地と言う概念では捉え難く 一点々がそれぞれ固有の美しさを保ち 川越唐桟にも比肩するほどの荘厳とも言える美しさで三河木綿研究会の一人一人の会員の力量や木綿に対する深い想いを感じさせてくれる素晴らしいものでした。 想えば「伝統的」である、とか「手織り」である、などと言う言葉は普遍的なニュアンスに留まるものでしかないのかも知れません。 展示された三河木綿のそれぞれを目にして感じたことは数百年に渡り伝え継がれたと言う時の重み・・・
話は少し変わり遠く異国の話ですが、スペインのバルセロナに歴史的建造物として広く知られる、アントニオガウディのサグラダファミリアが在ります。 千数百年の古からその建造が始まり今尚建築が続けられています。 数年前に訪れた際にも現代の職人たちの手によって施されているその彫刻は、古代のそれと比していかほどの遜色もない素晴らしいものでした。 それはまさに現世に生きる私たちが後世振り返る歴史の構築の一瞬に立ち会っていたのだと思います。(完成は五百年ほど先になるそうです・・・壮大な話ですね) サグラダファミリアとは次元が異なるのかも知れませんが 現代の友禅/染織の名匠の手仕事も遠い「未来」には確実に「賞賛される過去の染織」となるのです。 経営として染織を思えば そうした手仕事による染織は効率的でないのかも知れません。 それ故職人としての手仕事による「友禅/染織」はめっきり減ってしまったとも言えます。 しかしそのことが染織としての手仕事の価値そのものを否定している訳では決してないのです。 前述したサグラダファミリアが伝えられた古の建築技術を保ちながら、近代建築の錐を極めた仕事が施されるように、現代の友禅/染織は、過去の染織技術を鑑みることが出来るということにおいて、過去の友禅/染織を超える可能性を秘めています。つまり「伝統」を踏襲しながらも、その実 制作する者の美意識が極めて高い次元で新たに籠められているものなのです。 何処に納められたり、何をもって完成されたとするのか、何からの評価をもって一番なのかはわかりません。 ただ、重要無形文化財技術保持者認定(※人間国宝)指定されたり、美術館に所蔵されたりすることが、すべてではないと思います。
この黒留袖は木村喜博氏の手によってとりわけ丁寧を尽くされた手描友禅が施されています。 幾重にも引き重ねられた彩色が厳かなる格調と品位を表現しています。 この友禅の完成された一枚の「絵」としての質感がこの黒留袖の上質感を決定付けていると言っても過言ではないと思います。 また、この黒留袖はこうして眼にする印象よりも装ったときに、更に上質な品位を表してくれます。 高度な手仕事が施された友禅は「装ったとき」を確実に想定して創られているのです。
※こちらは弊店H・Pからお求め頂くことも出来ます。
皆様にとって素敵な新年を迎えられますこと 心より お祈り申し上げます。 来年度もどうぞよろしくお願いいたします。
きもの水流 足立浩一 他一同



