水流の「季・とき」折々・・・
「季・とき」折々… 2012年 02月23日(木)

■装いと人となり
若い頃は一回にきちんと三合食べていたご飯も最近は一回一合で済むようになった。拒食症かもしれない。
もっと若い頃は夕御飯に三合食べて晩御飯はまた別に戴いていたけれど、いまは夕御飯と晩御飯は兼用になった。齢を重ね随分物わかりのいい大人になったみたいだ。もとよりご飯食べ(白飯好き)で、冷めたコロッケ半分あればどんぶり飯(失礼…)一杯は軽く食べられるエコなタイプ。サクッとした触感と共に頬張るホクホクの揚げたてコロッケはもちろんうまいけれど私にはそれはあくまでもおやつ、ご飯のおかずにするならやっぱり冷ましておかないとね。(私と同世代にこんなおっちゃんは割と居る)
まだ表面にぶくぶく泡が立っている、炊けたばかりのちんちん熱々のご飯を茶碗によそい、暫しご飯の匂いをたのしむ。立ち上る湯気を考えもなしに勢いよく吸い込み時折鼻孔を火傷する。気持ちが落ち着いたら冷たい(普通に冷めた)コロッケとご飯をクチの中一杯に詰め込む。(その時コロッケはコーミソースの海で泳がせてある。)クチの中で熱”っ!冷っ!熱”っ!冷っ!を曲芸の如く混ぜ繰り返し、上向いてほがほが湯気を吐きながらほとんど噛まないまま飲み込む。(鵜飼の鵜と違い後で取られることはない。)かくして名古屋弁で言えば「でら、うっまいが!」となる。
参考になるとは決して思いませんが、ちんちんのご飯に冷めたカレーをかけてもこれまた、でらうまい、(これは逆もまたうまし!冷やご飯にぐつぐつ煮立ったカレーをかけて食べる)…なにやら育ちの良さが窺えようというものであります。他にも超B級グルメ?(と言うかB級な食べ方?)の数々有りますが、底に落とした品位を自らの筆で更に貶めることになりかねず、かろうじて踏み止まっているB級店主の座からも転げ落ちてしまいかねないのでお披露目せず。
とは言えど、聞きたい?(笑) では、でらうまいご飯を一つお披露目します。
まず始めに食卓にぐつぐつ音のする熱々の鍋焼きうどんと炊き立ての五目御飯(炊き込みご飯)を用意します。次に熱々の鍋焼きうどんと、一杯目の五目御飯を食べ終えます。続いて二杯目の五目御飯をよそいます。で、食べるのが遅い女帝の鍋焼きうどんのつゆがまだ十分に熱いのを確かめて、あっちを向いた隙に自分の五目御飯にたっぷりと注ぎます。要するに五目御飯の茶漬け(※うどんつゆだけど)です。あとは勢いよくザザザ、ザーッとかっこむだけ。決してお箸なんぞでちろちろすくってはなりませぬ。ぶっかけの醍醐味も台無しというものです。あくまでもつゆとご飯を一気呵成にザザーっとかっこむんです。これまたでらうま!二合くらい軽く流し込めそうなほどうまい。この時のお漬物はあっさりとかぶらの塩漬け。これまたでらうま!幸せが身体中に沁み入ります。 実は、でらうま味噌煮込みうどんバージョンもあるんだけど…、ま、帯かなんか買ってくれたら教えます。
さてさて本題はこの辺にして余談を少し…。
あと、ひと月もすると卒業式/入学式の季節到来です。割と最近なんですが、小学校の卒業式での着物と袴姿をちょくちょく見掛けます。先生(女性)の着物/袴姿は以前からよく見掛けますが、卒業する女子児童の着物/袴スタイル、となるとあまり見掛ける訳ではありません。それゆえ本当に輝いて映ります。少数派と云われる者はものの昔から美しいものなのです。
弊店でもこの数年来、ご近所の女の子の卒業着付けを受けています。見違えるようなその姿は呉服屋の贔屓目などでは決してなく、初めての袴に恥ずかしそうにしながらも、凛として誇らしげでとても素敵なものです。そんな姿を見るにつけ思うのは…、そんな頃からやはり女の子の方が、潔い。人とは違う自分をすでに見つけ楽しんでいる。(男の子の方がどちらかと言うと照れがある。切っても切っても金太郎飴みたい、みな同じ格好をしたがる。故にみな同じに見える。案外群れたがるのは男の子かも。)弊店の二階で着付けを済ませ、木の階段を降りてくるその足音が三十分前に上がっていった時とは明らかに違っている。足袋に履きかえたこともあるけれど、トントントン…と、張り詰めた空気を醸し出し、きりっと結い上げた御髪と相俟ってとても清々しくも美しい。
弊店の近隣の小学校はお母様方の着物姿も意外と多い。呉服店を営む者としてはとても嬉しい訳だけれど、欲を言わせてもらえるならば、内心、もうちょっとだけなんとか…と思わずにはいられない人もいるけれど、卒業式/入学式には着物で…という心だけで十分嬉しいのも本心です。着物姿のお母様方、見ているととっても柔和な表情をされています。晴れがましさ中にほんの少し誇らしげな気持ちが織り交ざり…そしてとても穏やかで品位ある佇まい。我が子の節目には正装で…と言うお母様の律儀が本当に美しく映ります。
最近の女性はスタイルもとてもよくなってきて洋装の式服もそれはそれで見るべきものもありますが、やはり色無地に錦織物の袋帯、江戸小紋に有職の袋帯なんていでたちを見せられるとやはりその美しさは格別…ちょっとワンピースでは太刀打ち出来ません。美しさに思わず溜息がもれてしまうこともあります。帰り道、手を繋ぎ歩くお嬢さんも着物姿のお母さんに誇らしげな面持ちです。私が若い頃はカラスの行列なんて揶揄された黒の羽織の行列、そんな姿も今は昔、ほとんど目にすることはありません。それは時の流れ、でも現代の街中で着物を美しく装う女性が同性からも異性からも魅力的に映るのは今も昔も変わらないのかもしれません。人は見た目ではもちろんないけれど、その装い/所作/用意に人となりが表れるのものであるのです。
【掲載画像について】
Raw Silk(ローシルク)とは、低温でゆっくり糸を繰る生繰り糸です。そのため、手に取ると絹本来のしなやかさややわらかさを感じることが出来ます。お召し頂きますと上質な絹地だけが保つ、とろんと落ち感のある極上の着心地をお愉しみ戴けます。おひとつからたくさんまで、御誂え染めのご用命、お待ちしております。
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