きもの専門店
そう謳うのは覚悟と精通が問われます
着物に関わり四十年と少し…
まだまだ学ぶことばかり…
きもの、って知れば知るほど知らないことばかりです

その多様さゆえに定義付けることの難しい更紗
古渡にはじまりペルシャ、フランス、イギリス、…
  バティックとして知られるジャワ更紗もありますが、日本の職人の手による和更紗の美は
やはり格別です
―唐草小花文―

暈したり、一層の斑も許さなかったり
澱みの様に堆積した手わざが意図して刷毛を捌く…
かのフィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホさえ憬れた
日本の職人の筆捌き

染織作家の手から放たれた作品は
一つの花、一つの蝶、一つの鳥、に
生命が吹き込まれているのです 
添田敏子 ―白ぶどう―

もしかしたら
この小さなキモノ店は
アナタをドキドキさせることが
出来るかも知れません
どうぞ遊びにいらしてください 

水流の「季・とき」折々・・・

「季・とき」折々・・・ 2009年 11月02日(月)

季・とき おりおり

□約束

先日、名古屋の某放送局のラジオ番組の中で、聞いたちょっとした雑学 特に何かの役に立つ話でもありません。 且つ、今回のテーマとも何の関連もありません。 熊ん蜂とアヒルについての話です…。  

お話をする前にお聞きしますが、 熊ん蜂はご存知ですよね? あのズングリむっくりした真っ黒けの蜂です。 (いま、あんたみたいなやつでしょ、って誰か言いましたね…) ま、いいです… 話を進めましょう。 その大きさは大人の親指第一関節から先位?かな? そう、結構大きい… と言うかまん丸と太い、特大の正露丸のような 名前の通りまるで熊のようなやつです。 で、アヒルは知ってますよね? アフラックのCMに登場するアレです。

で、その熊ん蜂 ラジオ番組の中で こともあろうかキャスターの女性に体型を指摘されたんです。 空を飛ぶための羽根が、その熊のような身体に対してものすごくアンバランス 申し訳程度に付けたような耳かきの先みたいな小さな羽根しか付いていないと言われたのです。 余計なお世話ですよね。 ちっ、と言う熊ん蜂の舌打ちが聞こえてきます。 更に航空力学上の見地から あの身体にあの羽根では絶ッ対に飛べない、第一見た目が冴えないと トドメまで刺されてしまったのです。 でも、実際には現実に空を飛んでいるんですね。 そしてもう一方のアヒルはというと、アヒルは空を飛べません。 飛べないのですが、こちら航空力学では飛べるのだそうです。 理論上では飛べるのだけれど飛べない。 

さて、そこで私… 蜂に例えると熊ん蜂らしいのです。 …いったいどこに目を付けてるのか… あんた達、目と脳の両方がオカシクないか?と強く思うのですが、ひとは熊ん蜂だと断言します。 自分ではどう見てもミツバチです。 百歩譲ってもてんとう虫。 その証拠に私は毎日鏡で見ています。 風呂上がり… 決して美白とは申しません。 これでもし色が黒ければ… 冷静になれば、同意が出来ない訳でもありません。 

さてさて、と、言う訳?で いつものように前ふりから繋がらないまま、唐突に本題に移らせて頂きます。 

今回のテーマの色適わせなんですが… 

まず基本的な事からお話します。 「礼装はあまり色を多く遣わない。」 これは一般的な礼装の基本です。 つまり 同系色でまとめる方が綺麗で上品な印象という訳です。 加えて言えば、淡い色彩の方が礼装感を強く印象付けることが期待出来ます。 単純な言い方をしてしまえば 淡い色彩になるほど 礼装感を強く印象付け 濃い色目になるほどお洒落感を強く感じさせるのです。 例えば、淡い灰色の付け下げに銀色系の帯、 同系色の帯〆・帯揚げ といった装いはとても礼装感の高い装いとなります。 反対にチャコールグレイの着物に金茶系の錦織の帯、鶸灰色の帯上げに錆煉瓦色の帯〆なんて組み合わせは たとえそれが礼装でもお洒落感の強い印象となるのです。 

では、カジュアルな装いでは…。 たとえば紬織物の装いを考えてみます。 生成り色の結城紬にはどんな帯を適わせるか。 様々な帯適わせが出来そうです。 たとえば“茶系”の帯 焦げ茶色なども含めて綺麗な帯適わせとなりますが、印象的なお洒落感はありません。 万人が綺麗、と言われると思いますが、採点をすれば80点止まりでしょうか。 これがたとえば、藍色系やブルー系の帯をしたらどうでしょうか? 印象は一変し、とても着なれた洒脱な印象となります。 ここでは単純に生成りと藍色としてますが、生成りや藍色にも様々な色調がありますから、一概にすべてがそうだと言っている訳ではありません。 

次にコーディネートの際の「帯揚げ」の選び方ですが、帯揚げは帯〆とは異なり、着物と帯をつなぐところに位置しています。 つまり着物と帯のコーディネートが素敵に見えるか否かは帯揚げ次第といっても過言ではないのかも知れません。 それだけ重要なポイントなんです。 そこで、帯揚げを選ぶ際の基準なんですが、 この場合で言えば着物の生成り色、帯の藍色の両方に添う色 を選びます。 たとえば鶸系 茶系などです。 ここではくすんだグリーン系を選んだとします。 その際、帯〆はグリーンの濃淡が無難なのですが、 それではやはり面白味に欠ける事は言うまでもありません。 折角ですから、敢えてちょっとだけ外してみるのがお洒落なんです。 たとえば山吹色とかくすんだ橙色なんかはとても素敵ではないでしょうか? もちろんこうした色適わせについては賛否いろいろあるかと思います。 お洒落着物の装い、とりわけカジュアルが強くなるほど、その取り合わせは百人百様、いろいろ試してみることです。 

さて、こうしてお洒落着物専門店を営んでいていつも思う事なんですが、 コーディネートにおける美しさのポイントはミスマッチの一歩手前に在るように思います。 ミスマッチの一歩手前とは… いわゆるわざと完璧にはしないと言うことです。 つまり、一分の隙もないとした窮屈な印象の着こなしではなく、どこかひとつ「外し」を敢えてつくったコーディネートです。 本当に外してしまってはいけません。 ほんの微かなアンバランス/unbalance これが美しさを際立たせるのです。  つまり、平たく言ってしまえば、当たり前のところには、美しさは存在しないと言う事です。 もちろんそうした事はマニュアル本にも載っていません。 何故なら、そうしたことには正解がないからです。 逆説的な言い方をさせてもらえば、正解の数は無数にあり、NGもまた無数にあるのです。 つまり単純な色適わせだけではなく、素材感や色の質感 そしてそれを装う方の雰囲気と言う曖昧な要素、様々な条件が重なり美しさが表れるのです。 でもこれ、要するにセンスのひとことで終わってしまうお話なんですが、このセンスという感性 これは覚えて身につくというよりも むしろ先天的な感性、持って生まれたものなのです。 このこともいつかの機会にお話したいと思います。

私はそこら中アンバランスなようですが、美しくもないようです。 残念ですが、例外もあるという事です…。 ただ、私… 性格や人格 人間性や感じの悪さはともかく センスだけは良いかも、とした評価もあるようです。 コーディネートに迷われたらお尋ねください。 友愛精神で懇切丁寧にお答えさせて頂きます。 

【掲載品目について】

こちら結城紬です。いかにも結城紬とした意匠ではありませんが、こうしたモダンと古典が相俟った意匠も それはそれで素敵ではないでしょうか? 本当は帯・帯〆・帯揚げをコーディネートしようかと思いましたが、電池切れとなってしまいました。 また今度…。

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