水流の「季・とき」折々・・・
「季・とき」折々・・・ 2010年 3月28日(日)

■接客?説得?
ようやく春めいて弊店のある名古屋でも桜の蕾が少しづつ開き始めているようです。 すぐ近くを流れる天白川の畔に立ち並ぶ桜並木の中に一本の古木(こぼく)があります。 いつの頃からそこに在るのか… 歴史を感じさせる見事な佇まいで見る者の目を古(いにしえ)の春にいざなってくれるかのようです。
さてさて。。。先日の京都のとある展示会… とある展示会 といってもそれは呉服店や仲間卸、更には呉服店がお誘いした個人のお客様まで同会場に混在する展示会 つまり会場のあちらでは算盤片手に呉服店主が仕入れをしている傍らで 個人のお客様を派遣の販売マネキンさんが接客?説得?していたり…という総合展示会 そこでのひとコマ。
理由はさておき、私はあまりこうした総合展示会に出掛けることはありません。 空き時間を利用して道すがらちょっとだけ覗かせて頂いた訳なんですが、 展示会は会場の広さの割に個人のお客さんや呉服店主の姿はちらほら 人口比で多数を占める問屋のおじさんたちは(きっと私よりも若いけれど…) 設けられた商談用の座卓の前で まるで自宅の居間でくつろいでいるかのごとくリラックスしていて 吸い込んだ煙草の煙で輪っかをつくりながら 時折競馬談義やゴルフ談議に興じている有様 と、なにやら奥の方でマネキンさんの力強い声 興味を引かれその声の方へ行ってみると…
どうやら地方の呉服店の店主がお連れしたお客様とおぼしき女性が 持参した訪問着に帯を合わせていた場面らしく…
以下敬称略
客「この帯、ちょっと私には派手ではないかしら?」
マ・なにゆうてはりますのん、帯は派手な位がよろしおす! それにぜんぜん派手なことあらしまへん!
客「そうかしら?…」
マ・この帯やったら私かて十分締められますぅ(※お客さん推定50歳前後、マネキンさん推定60代後半… ちなみにその帯、私の目には お客さんには派手…。 当然マネキンさんにはもっと無理…。しかも佐賀錦風のいかにもお嬢さま向きの帯)
客「他の着物にも合うかしらねぇ?」
マ・なんにでもあわさはったらよろしおすえぇ。 私(なんにでもは無理でしょ…)※声は出していません。
客「黒地の大島にはちょっと合わないかしらね?」
マ・そんなことあらしまへん、大島に合わせたかてよろしおすえぇ 私(…どう見ても適わんけどな…)※同
客「娘の振袖にはいくらなんでも無理よね?」
マ・振袖かて全然問題あらしまへん! 私(もともとお嬢さま向きの帯だと思うけど…)※同
≪だいたい振袖から大島まで締めることが出来て、且つ二十歳のお嬢さまから60代後半のマネキンさんまでカバー出来る帯って一体ナニ?…≫
まだまだ、しばらくは続きそうな説得の気配に少し気分が悪くなってしまった私は余す時間を残しながら、会場を離れてしまいました。 こうした展示会に配備される販売マネキンさんの多くは基本給+売上歩合制です。 なんとしても売りたい気持ちは痛いほどよ~く解ります。 解りますが、やはり適当なその場しのぎの説得?はどうなんでしょうか。 加えて言えばなんにでも合う帯なんてある筈もありません。 こうした接客、変だと感じるのは私だけではないと思うのだけれど… 、お客様を囲んだ他のマネキンさんや問屋の社員は皆、必要以上に終始にこやかで 統制がはかられているのか、どこかの政党みたく言論の自由が禁じられているのか、そこに異論・反論・objectionは皆無なのです…。 お客様をお連れしたと思われる呉服店の店主はと言えばさらに満面のえびす顔… 折々見掛ける光景ではあるのですが、居心地の悪さといったらないのです。 皆、本当にそう思って言ってる!!!???と 訊いてみたい思いでした。
いつも申しますように私は所詮商人ですから、明けても暮れても商売=売上の事を考えています。
もちろん私などはお客さまを説得するクチグルマを25年もの長きに亘っていまだに研究途上の身の上です。 加えてどう自己贔屓目に見ても話術に長けているとは言えないのですから 確かなことは言えませんが そんな説得の素人の私でさえ 違和感を感じ変だとしか思えないのです。
かくいう私も、お客様に対して結構しつこくお奨めしている事もあるようです。 でも、自画自賛のために申し上げますと それは「確実にお客様に似合っている場合」に限定されるのです。 反対に似合わないと思っている時の私の反応は極めて希薄、加えて申し上げれば 似合っていないと思っている私のアタマの中まで透けて見えているらしい… 女帝曰く「もう少し、まともな反応をしたらどう?」と白い目で見られるほど… 自覚がない訳ではありませんが、そうなってしまうようです。 きっと、私と販売マネキンさん 足して2で割ると丁度良いのかもしれません。
さてさて。。。 今回は弊店の個展の予定などを記そうかと思ったのですが、お花見の予定以外なにも立っておりませんでした。 よって またまた、何の役にも立たないクダラナイお話のみとなってしまいました。 齢を重ねても尚、反省の日々の繰り返しなのであります。
ではでは。。。
【掲載画像について】
こうした素材の帯が待ち遠しい季節となりました。 本来は単衣/夏用の帯です。 お約束事に倣えば、6月~9月となりますが、昨今では5月のGWが明けると日によっては御遣い戴く方も多く見掛けるようになりました。
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